2015 年 12 月 24 日、大阪地裁は、債務超過の株式会社が、私的整理を進めるため、全部取得条項付種類株式を利用したスクイーズアウトを実施したことに対して、当該会社の株主が全部取得条項付種類株式の取得価格の決定の申立て(会社法 172 条)を行った事案において、株式の取得価格を 1 株につき 0 円とする旨の決定をしました。

 大阪地裁は、当該会社が、1.継続的に債務超過状態となっており、直近でも多額の債務超過状態にあること、2.債務を減少させるために事業用資産等の売却を進め、売上高が大幅に減少していたこと、3.近時に清算を予定していたこと等を認定し、多額の債務超過状態にあって、今後の事業展開によっても利益を上げることが困難な状態であったとして、当該スクイーズアウトが実施されなかったのであれば有していたであろう株式の価格は 0 円であるとしました。また、当該会社は、別途の事業を営む子会社の全株式を保有していたものの、当該子会社の株式は金融機関のために第一順位の質権が設定され、その株式価値はすべて金融機関に把握されていたことから、大阪地裁は、当該会社の株式価格の算定において、保有する子会社株式を積極的に評価することはできないものとしました。

 株式の価格決定申立てにおいて取得価格を 0 円とした稀な事例であり、倒産処理に当たっていわゆる 100%減資を行う場合等の参考になると思われます。

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文:森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2016年4月号 Vol.28より転載