平成23年7月15日、最高裁判所で「賃貸借契約の更新料支払い特約を原則として有効」とする判決が出されました。今年3月の「敷引特約を有効」とする最高裁判決に続き、賃貸住宅に関する重要な判例になると考えられます。そこで今回は更新料有効判決の概要を確認してみたいと思います。(この記事は2011/09/30発行時の記事です)
一般に「賃貸借契約が期間満了になり、契約を更新する際に支払う一時金」のことをいいます。法律で明確に定められているわけではありませんが、賃貸借契約書の中で「契約更新の際には、借主は貸主に更新料として表記の金額を支払う」といった条項で定められることが多く、その条項を「更新料支払特約」といいます。
今回の裁判では、この「特約」が消費者契約法(※)で無効とされる「消費者の利益を一方的に害する契約」に該当するか否かが争われました。
※消費者契約法…消費者と事業者の情報力や交渉力の格差を前提に、消費者の利益擁護を目的とした法律。不当な契約を取消し・無効にすることができます。
控訴審の大阪高等裁判所では、「更新料支払特約」を有効とする判決が1件、無効とする判決が2件と判断が分かれており、また更新料の性質や貸主・借主の間の情報力・交渉力の格差等についても見解が分かれていました。