2015 年 7 月 16 日、大阪地裁は、譲渡制限株式を発行する事業会社及び資産管理会社の株式について、譲渡承認請求者と指定買取人との間の協議で売買価格が定まらず、譲渡承認請求に係る株式の売買価格の決定の申立て(会社法 144 条 2 項、7 項)が行われた事案において、事業会社の株式につき配当還元法、資産管理会社の株式につき純資産法によって算定するのが相当である旨の決定をしました。

大阪地裁は、譲渡制限株式には取引相場がないため、会社の事業活動及び財務状況に関する一切の事情を考慮して、客観的に妥当な価格を定める必要があるとした上で、事業会社の株式については、今後も当該事業会社が事業活動を継続していくことが予想されていることや、本件の売買が非支配株主間のものであって指定買取人が将来的にも経営支配権を獲得することが現実的には極めて困難な状況であること等を総合して、将来において予測される配当額を現在の価値に引き直して株式価値を算定する配当還元法が合理的な評価方法であるとしました。また、当該事業会社の株式が総資産の大部分を占める資産管理会社の株式については、当該資産管理会社の株主は実質的には当該事業会社の株式を間接的に保有しているといえ、当該事業会社の株式の時価を基準とした時価純資産法が合理的な評価方法であるとしました。

非上場会社の株式の価格の算定において、様々な評価手法のうちいずれの評価手法を用いるかについては、価格決定の申立てを受けた裁判所の合理的な裁量に委ねられていると解されていますが、公表事例の乏しい譲渡制限株式の売買価格決定において合理的な評価手法を具体的に示した事例として参考になると思われます。

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文:森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2015年12月号 Vol.24より転載