【M&Aインサイト】金商法166条1項5号にいう「職務に関し知った」の意義について示した裁判例
2017年6月、処分行政庁の課徴金納付命令が裁判所によって初めて取り消されました。今回の裁判で争点となったのは「職務に関し知った」という点。裁判所が示したその意義を解説します。
外国の企業や日本国外に住む個人(以下「外国投資家」といいます。)が日本の会社の株式または持分を取得する場合、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、日本銀行への事前届出または事後報告書の提出が必要であることは、ご存知の方も多いと思います。
このたび、外為法の一部改正により、外国投資家による対内直接投資等に対する規制が強化され、事前届出の対象範囲が拡大されました。
(平成29年10月1日施行)
改正のポイントは、以下の通りです。詳細については、日本銀行のホームページに掲載されている「外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)」をご参照ください。
これまで外国投資家間の株式または持分の売買については、上場会社の株式のみが事前届出規制の対象でした。改正外為法では、外国投資家が他の外国投資家から非上場会社の株式または持分を取得する場合(特定取得)についても、規制の対象となりました。投資先となる日本の会社が、国の安全保障に関わる一定の業種(原子力や軍事に関連するもの等)に該当する場合には、事前の届出が必要となります。
外国投資家による対内直接投資に係る「事前届出業種」の範囲が拡大され、軍事転用される可能性がある、特定の設計及び製造に係る技術も規制の対象となり、該当する高度な技術を保有する製造業等の業種が事前届出の対象に追加されました。
このほか、無届けで対内直接投資等を行った外国投資家に対しては、国の安全を損なうおそれがある場合には、株式の売却命令等の必要な措置命令を行うことができる制度も新たに創設されました。
今回の外為法改正は、背景に安全保障に関連する先端技術や製品の国外への流出に対する懸念の増大があり、上述の外国投資家による対内直接投資等に関する規制の強化のほか、輸出入・技術取引に関する罰則の強化、輸出入規制に関する行政制裁等の強化等も目的とされています。
当事務所では、外国投資家の出資による会社設立や増資、株式譲渡等の案件を多数扱っております。何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。
文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
Vol.127 2017.12.28 メールマガジンより転載
2017年6月、処分行政庁の課徴金納付命令が裁判所によって初めて取り消されました。今回の裁判で争点となったのは「職務に関し知った」という点。裁判所が示したその意義を解説します。
今回は、株式買取請求の撤回の効果に関して判示した東京高裁の裁判例をご紹介します。