ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

EBITDA倍率8倍は、結局高いのか安いのか?

alt

EBITDA倍率(EV/EBITDA) が6倍台になった原因

つまり、EBITDA倍率(EV/EBITDA) 6倍台になった原因は、分母のEBITDAが景気回復と企業努力により急激に拡大した一方で、純有利子負債がマイナスなり、時価総額の上昇分を相殺しているため、企業価値が利益の成長に比して伸びていないからだと捉えられます。

既に多くの識者により指摘されていますが、優良企業を中心に、獲得した資金を社内に蓄積し(または借金の返済を優先し)投資や雇用の拡大にそれほど投下していないことが、この分析からも見てとれます。

日本企業が近年このような行動をとり続けていることは既に多くで指摘されていますが、上記グラフからも同様のことが読み取れます。

一方で2018年3月期のEV/EBITDA倍率はどうでしょうか。7.1倍と2年連続の6倍台からは脱却しています。

しかし、グラフを見ればわかる通り、これは2018年に過去に続いてさらに力強く株価が上昇し、時価総額が増加した結果と言えます。その結果、現金超過額(マイナスの純有利子負債)は3年連続で拡大し、2018年3月期には80兆円に達しています。これは、GDP(2018年3月期:約550兆円)の7分の1にあたる大きな額です。

こう考えると、EV/EBITDA倍率が6倍台~7倍前半という水準は、市場が日本経済を「割安評価をしている」のではなく、「成長に疑問を持っている。(適切な投資選択肢が見いだせてない)」という、「評価の変わり目」である可能性があります。

次回に続く

IGNiTE PARTNERS ホームページより転載

西澤 龍 (にしざわ・りゅう)

IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー

投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員

コラムに関する質問・問い合わせ・弊社サービスに関するご相談は、以下にご連絡ください。
ignite.info@ignitepartners.jp


NEXT STORY

【資本効率革命の波 閑話休題(3)】利益の種類

【資本効率革命の波 閑話休題(3)】利益の種類

2017/05/22

前回では税引後営業利益NOPATという耳新しい利益が出てきました。ここで利益の種類について改めてまとめてみます。決算資料に出てくる利益は営業利益、経常利益、当期純利益ですが、その他にM&Aの企業買収価格の算定によく使われるEBITあるいはEBITDAという利益があります。