図2:「東証一部株式会社」のEV/EBITDA倍率推移

出所:CapitalIQデータベースよりイグナイト作成

注:2018年8月19日改定:2015年12月に公開した本コラムの初稿に2016~2018年データを追加

面白いことにリーマンショックのような大きな景気変動が起きた時期も含め、ほぼ一定してEBITDA倍率が7倍~10倍のレンジに収束します。2001年~2018年までの平均値は8.3倍です。8倍が妥当という目安と大きな祖語がありません。 

注:東証1部には、一般的にはEV/EBITDA倍率を用いて分析することが不適当な銀行証券等の業態企業も多く含まれるが、東証一部企業全体を一つのポートフォリオと考えた場合、資金供給部門と資金需要部門はある程度バランスされる関係にあるとの前提で、銀行証券業等の除外はしていない

これは、仮に東証一部上場の全銘柄を時価総額規模に応じた適切な比率で組み込むパッシブ型の運用をするのであれば、EBITDA8倍を切ってくるような水準では一般的には「割安」と捉えることができることを意味します。

こう考えると、投資ファンドの投資検討におけるIRR分析や、事業会社のM&A検討におけるDCF法による価値評価のような厳密な評価方法をおこなうことは当然としつつも、目安として8~10倍という水準を意識することは、少なくとも日本市場をベンチマークする場合はある程度有効と考えられます。逆に、DCF法等で論理的整合性があっても、EBITDA15倍というような評価になる場合は、その根拠について慎重な検証が必要です。

ところでコラムの本題とは少し外れますが、この分析では興味深いのは、直近2016年3月期以降の実績EBITDA倍率をみると、2016年3月期と2017年3月期において、過去に一度もなかった、6倍台という低い水準になっていることです。

では現在、東証一部企業は全体として、割安、なのでしょうか?

注:2018年8月19日改定:2015年12月に公開した本コラムの初稿では、2016年3月期の東証一部上場企業全体のEBITDA倍率を5.4倍と分析したが、その後原データの過年度修正がなされたため、修正後データに基づいて再計算した倍率をグラフ化している。この分析により本コラムの趣旨はかわらない。

これには少し慎重な分析が必要と思われます。