M&Aの相続対策、改めて考える相続対策の「贈与」とは?

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写真はイメージです。

M&Aを行い多額の資金が入ってくると、相続対策を行う必要がある。相続対策には様々な種類があり、すぐに始めることができ、効果が高いのは贈与を行うことだ。しかし、一口に贈与といっても相続対策の贈与には様々な種類がある。

改めて考える相続対策の贈与とは?

国税庁より2020年分の贈与税の申告情報が公表された。2019年分と比較すると、贈与税の「申告書提出者」と「申告納税額がある方」の人数はほぼ横ばいとなり、「申告納税額」は増加した。

・申告納税額
2019年…2500億円
2020年…2772億円

上手に生前贈与を行うことが将来の相続対策につながる。孫への贈与を行うと、祖父母の相続財産から切り離すことができ、世代飛び越し効果も期待できる。また相続税と贈与税の税率差を活用した贈与を行うことで、将来の相続税負担を軽減する効果が期待もできる。

暦年贈与の基礎控除は年間110万円になる。暦年贈与の基礎控除は「あげる人」ではなく、「もらう人」ごとに 110万円となるので、贈与の際には注意が必要だ。

例えば以下のようなケースの場合、贈与税を支払う必要がある。

・祖父からの贈与…110万円
・祖母からの贈与…110万円
・合計:220万円
・基礎控除…▲110万円
・課税価格…110万円
・税率×10%
・納付税額…11万円

となるので贈与を使った節税対策を行う際は計画的に慎重に行う必要があるのだ。

名義預金にも注意

贈与を検討する際、名義預金にも気を付ける必要がある。贈与をしたつもりでも、もらった側が贈与を受けたことを知らない場合、贈与は成立しないからだ。あげた人の相続時に相続税の課税対象となるいわゆる「名義預金」がこれに該当する。そうならないためにも、下記のように贈与の証拠を残し、 正しく贈与を行うのが重要となる。

・自署捺印のある贈与契約書を作成し、確定日付をとる
・基礎控除を超える贈与は、贈与税の申告、納税をする
・もらう人は、自身の名義の口座を自分の印鑑で作成
・もらった人が通帳、印鑑を管理し、自身が活用(未成年の場合、一般的には成人するまで親権者が代理で管理)

贈与制度一覧

贈与税の非課税制度は暦年贈与以外にも様々な方法がある。一覧にしたので参考にしてほしい。

暦年贈与
いつでも可能で誰でも好きな時に贈与が可能。基礎控除:受贈者1人につき毎年110万円超過部分に10%~55%の8段階の累進税率が適用。メリットは相続開始前3年以内の相続人等への贈与財産以外は相続財産から切り離されること(=相続財産の減少)。デメリットは相続開始前3年以内の相続人等への贈与財産のみ相続財産に加算。

相続時精算課税制度
いつでも可能(選択後は贈与者の相続時まで撤回できない)60歳以上の直系尊属から20歳以上の子・孫への贈与控除額::2,500万円(超過部分は一律20%)受贈財産の評価額が上昇した場合でも、贈与時の評価額で相続財産に加算受贈財産の評価額が低下した場合でも、贈与時の評価額で相続財産に加算。

住宅取得等資金贈与
利用できる期間は2021年4月~12月末で直系尊属から20歳以上の子孫への住宅取得等資金の贈与。所得制限あり。
控除額:500~1,000万円(省エネ耐震の場合1,000~1,500万円)控除額を限度に相続時に相続財産に加算されない

教育資金一括贈与
2013年4月~2023年3月末。直系尊属から30歳未満の子・孫への教育資金の贈与。所得制限あり。非課税枠:1,500万円まで(学校等以外は500万円)

一定期間内に使用した金額は贈与税・相続税が非課税。一定の要件を満たす場合に限り、残額は相続時に相続財産に加算されない。一定の場合を除き、受贈者が30歳の時点で残額に贈与税課税。

結婚・子育て資金一括贈与
利用できる期間は2021年4月~2023年3月末。直系尊属から20歳以上50歳未満の子・孫への結婚・子育て資金の贈与。所得制限あり。非課税枠:1,000万円まで(結婚関係は300万円) 一定期間内に使用した金額は贈与税・相続税が非課税残額は相続時に相続財産に加算される

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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