飲食店に出資、コーヒーの安定的販路を確保へ

セルフサービス式コーヒーチェーン店はスターバックスコーヒーやドトールコーヒーなどに代表されるように、カウンターで注文して商品を自分で受け取るスタイル。これに対し、フルサービス式コーヒーチェーン店は店員が席で注文をとり、商品を席まで運んでくれる、いわゆる「昭和の喫茶店」の形態であり、「喫茶室ルノアール」や「ミヤマ珈琲」はここにカテゴライズされる。

フルサービス式店舗は利用者が40~60歳代と幅広く、ゆったりとした座席配置が特徴。ここで、銀座ルノアールの競合となるのが「コメダ珈琲店」を擁するコメダホールディングス<3543>だ。

コメダHDは2017年2月期時点で売上高240億、店舗数747店舗。郊外にとどまらず、都市部にも出店し、今後は海外出店も見据えている。同社はIFRS(国際会計基準)で財務諸表を作成していることから、当初から海外投資家へのアプローチや海外進出を見据えていると考えられる。客層も40~60歳代だけではなく、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して20~30歳代のニーズを掘り起こす施策を打っている。銀座ルノアールが利用者の高齢化を見据え、定年退職者らをターゲットとしているのを比べ、戦略の違いが鮮明だ。

こうしてみると、フルサービス式店舗の市場も顧客の嗜好の多様化や高齢者の取り込みに応じた細分化が進んでおり、成長余地は多分にあると考えられる。

キーコーヒーはコーヒー事業への依存度が高い。こうした状況から、銀座ルノアールなどの飲食関連事業に出資するのも、コーヒー製品の販路を確保するのが大きな狙いとみられる。一方、銀座ルノアールは、同業のコメダHDに押される中、今後、フルサービス式店舗を展開するうえで、単に新規店舗を増やすだけでは勝ち残れないとの判断があって当然だ。消費者ニーズをとらえた立地、メニュー開発に迫られている。キーコーヒーと銀座ルノアールの資本提携の拡大は、「コメダ珈琲店」をはじめとするフルサービス式コーヒーチェーン業界の競争激化の一端を表したものかもしれない。

文:M&A Online編集部