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IBMのレッドハット買収を左右するオープンソースへの「理解」

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短期的な利益が期待できないレッドハットを使いこなせるか?

レッドハットが通常の営利企業であれば、それほど大きな問題はないだろう。だが、同社はオープンソースの企業であり、形式上の「顧客」は存在するが実態は「コミュニティー」に近い。マイクロソフトが技術者狙いなのも、「コミュニティーを買う」という回りくどい方法を選択したからだ。

ギットハブのユーザーは今のところMicrosoft Azureを使うことを求められていない。ただ、ギットハブを利用する際に、便利な開発環境としてMicrosoft Azureを選択できるということだ。マイクロソフトはギットハブとMicrosoft Azureの親和性を高める努力をしなくてはならない。

もしも「ギットハブではMicrosoft Azureしか使えない」という判断をすれば、その瞬間に「コミュニティー」は崩壊し、技術者はギットハブを離れることになるだろう。ここが「顧客」と「コミュニティー」との違いだ。

IBMがレッドハットの「コミュニティー」としての側面を尊重しているかどうかは、現時点では分からない。しかし、IBMがレッドハットのアプリが「IBM Cloud」でしか利用できないなどの囲い込みや、ハイブリッドクラウドへの露骨な誘導に乗り出せば、彼らが資産とみなしている「顧客」は雲散霧消する。

レッドハットのユーザーは、IBMなしには情報システムの構築や運用ができないレガシーユーザーとは違う。短期の収益を求めるIBMの社風が、長期的な利益や時として利益度外視のオープンソース企業をうまく運用できるのか。実はそれが今回の買収で最もチャレンジングな課題なのだ。

2018年5月に開かれた「Red Hat Summit 2018」で握手するRed HatのPaul Cormier エグゼクティブ・バイスプレジデント兼社長兼副社長(左)とIBMのArvind Krishna ハイブリッドクラウド上級副社長(同社ホームページより)

文:M&A Online編集部



M&A Online編集部

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