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IBMのレッドハット買収を左右するオープンソースへの「理解」

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「顧客」を買ったIBM

しかし、裏を返せば「どちらのメリットも十分に生かせない中途半端なクラウド」ということにもなる。事実、2017年のIaaS型クラウドサービス世界シェアでIBMは1.9%と、アマゾン(51.8%)はもちろんマイクロソフト(13.3%)、グーグル(3.3%)の米大手クラウド企業に水をあけられている。

そこでオープンソースを基盤とするレッドハットを買収することで、パブリッククラウドの顧客層の囲い込みを狙ったとみられる。オープンソース利用者はコスト意識が厳しく、パブリッククラウドを利用する傾向が強いからだ。要するにIBMは今回の買収劇でパブリッククラウドを利用する「顧客」を買ったわけだ。

マイクロソフトが2018年5月に米マイクロソフトがソフトウェア開発用のソースコード共有・管理プラットフォームの米ギットハブを75億ドル(約8240億円)で買収したのと似た構図だが、こちらはクラウド向けアプリケーション技術者の囲い込みが狙いだった。

マイクロソフトもオープンソースのギットハブを買収したが、狙いは別。(写真左より、Chris WanstrathギットハブCEO兼共同創業者、Satya Nadella マイクロソフトCEO、Nat FriedmanマイクロソフトDeveloper Services担当コーポレートバイスプレジデント。同社ホームページより)

ギットハブとMicrosoft Azureの環境が統合されれば、技術者はギットハブのプラットフォームを利用した開発プロジェクトをクラウド上で進め、そのまま顧客に提供できる。技術者がギットハブでの開発に取り組めば取り組むほど、技術者と彼らの顧客の集合体である「コミュニティー」がMicrosoft Azureを使うようになるという計算だ。

「四半期決算で確実に利益を出す」スピード経営のIBMにとっては、いささかまどろっこしい手法だろう。だから手っ取り早く利益が見込める「顧客を買う」M&Aに踏み込んだのだ。ここにIBMのレッドハット買収についての懸念がある。

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