M&Aを行う場合、M&Aアドバイザーなどの事業者に依頼することになりますが、ひと口にM&A事業者といっても、様々な事業者があります。M&Aアドバイザーはもちろん、公認会計士(監査法人)、税理士(税理士法人)、金融機関、公的支援機関もM&Aの仲介を行っています。一般的にはM&Aアドバイザーへの依頼が多いようです。

今回は、M&Aアドバイザーなど事業者を選ぶ際の基準、ポイントについて解説していきます。

M&A事業者を選ぶ際のポイント 

中小企業や小規模事業の経営者にとってM&Aは、経営者人生最後の大仕事です。何としても成功させたいもの。そのためには、M&A事業者選びは非常に重要です。事業者選びの基準としてまずあげたいのは、「相性」と「実績」です。 

自社との相性

M&A事業者を選ぶ基準の一つは、自社との相性、マッチングです。M&A事業者はもちろんのこと、実際に自社を担当する人との相性が大切です。 

M&Aを考える時、まずはネットなどで事業者の情報を集めますが、この情報だけではもちろん相性がいいか悪いかなどわかりません。実際には、問い合わせから始まって、面談を重ねるうちにパートナーとなり得る相手なのか、見極めていくわけです。 

M&Aを成功に導くには、会社の売上・利益や資産、などの公表しやすい財務情報だけでなく、隠れた負債や保証、担保、自社の弱み、訴訟問題などのネガティブな情報もM&A事業者に公開しなければなりません。このようなことは、強い信頼関係とパートナーシップが構築されていなければなかなかできないからです。

相性の良し悪しは個人差がありますから一概に判断できませんが、M&Aの視点からいえば、まず、聞き上手であるか否かです。クライアントの要望や悩みなどを真摯に聞いてくれる相手か、クライアントの問いに的確に答え、話をスムーズに運ぶ会話テクニックがあるかなどです。会話テクニックがあればM&A交渉に際し、有利に運ぶ可能性が大きいので特に重要なポイントといえます。

しかし、話し好きという場合には注意が必要です。話が弾み過ぎるようであれば、守秘義務の面から問題が出てくることも考えられますので、その見極めは非常に重要です。

さらにクライアントの気持ちを推測できる、洞察力があることなども押さえておきたいポイントです。

実績

M&A事業者を選ぶ際の基準で「実績」も外せません。その事業者が、今までどのようなM&Aを手掛けてきたのか、どういう方面に強いのか、経験やノウハウをどの程度持ち合わせているのかを、事前に調査しておく必要があります。

さらに、実際に交渉に当たるのは、専任の担当者である社員ですから、その社員の経験・知識、またどのような分野が得意でどのくらいの成約数があるのか、ということは非常に大切なポイントですから、問い合わせておきましょう。

成約数の一つの目安としては、一人当たりの累積成約数が、5〜10件ほどの社員であればとりあえず問題ないようです。 

M&A事業者を選ぶその他の基準

M&A事業者選びのその他の基準としては、報酬額で「明確な報酬体系」かどうかということ。一般的な報酬体系としては、レーマン方式(5億円以下=5%、5億円超10億円以下=4%、10億円超50億円以下=3%、50億円超100億円以下=2%、100億円超=1%)による場合が多いので、これが一つの判断基準になるでしょう。

さらに、他の専門家との「ネットワーク」が充実しているか、クライアントの事業についての「業界情報」に明るいかといったことも重要ポイントです。

M&Aはどのような事業者を選ぶかによって、その結果に大きな違いが出てきます。多少費用はかかっても相性が良く、経験豊富で幅広いネットワークを持ち合わせた信頼できる事業者を選び、M&Aを成功に導きたいものです。

文:特定行政書士 萩原 洋