受入れ側企業の信用を高めるには?

また立川氏はこう指摘します。

「申請に時間がかかる要因のひとつは、受入れ側の企業の信用です。大手企業に比べると中小では審査に時間がかかってしまうことが多い。また経営年数の浅い企業、新設の会社なども審査に時間がかかる傾向が見られます」

入管審査時のカテゴリー(企業信用度)

信用度(高)
カテゴリー1上場企業、保険業を営む相互会社、日本または外国の国・地方公共団体、独立行政法人、公益法人など
カテゴリー2前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人
カテゴリー3カテゴリー2に該当しないが、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人
信用度(低)カテゴリー41~3のいずれにも該当しない団体・個人

カテゴリー3、4に中小企業の多くが含まれることでしょう。それだけ、審査期間も長くなる傾向となります。そこで、事業譲渡、M&Aによって、より信用を高める方向で進めば、外国人の受入れについても、よりスムーズになる可能性が出てくるのです。

反対に、存続会社の経営年数が浅い、または新設となったときは、従来よりも時間がかかってしまう可能性が出てきます。将来にわたって、外国人雇用を重視するには、事業譲渡やM&Aの設計時から考慮しておく必要があるでしょう。

大変なのは、人手不足ですぐにでも外国人労働者を受け入れたい中小企業にとっては、この審査の壁が立ちはだかることです。

「経営状況が厳しい企業では、残留許可を出そうにもその期間内に解雇される可能性を恐れて、より審査が厳しくなってしまいます。ですから、M&Aなどによって売り上げや利益がどう改善されていくか、事業計画をしっかり入管に説明しておく必要があります」

実際、信用度が低く手間取っていた企業では、受注書の束を持参して「これだけの仕事がすでに来ていて人が足りない! このままでは黒字倒産する」と訴え、許可を取り付けた例もあるそうです。

「未来投資戦略 2018」、少子高齢化社会の切り札として、今後も多くの企業が外国人を雇用することになるでしょう。M&Aや事業譲渡によって、より受入れ体制がよくなる方向で検討をする必要があります。

舛本哲郎(ライター・行政書士)/編集協力:一般社団法人コンブリオ