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赤字家業を継いだ元東レ社員 オーダースーツでV字復活(上)

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エリートから赤字家業へ

 ビジネスマンの戦闘服、スーツと言えば昔は月賦で買うのは当たり前だった。いまは既製品の量販店で買う人が多い。だが体にフィットするオーダースーツが安い値段で作れるのであれば、そのほうがいいに決まっている。

佐田展隆社長

高級品とされていたオーダースーツがなんと〝イチキュッパ〟、初回のお試し価格1万9800円という格安の価格で提供している。東京・神田に本社がある佐田の応接間。高級スーツ姿で身を包んだ佐田展隆さん(42)は、オーダースーツの直営店を全国展開している佐田の代表取締役社長だ。

 波瀾万丈のビジネス人生だ。大学卒業後、大手繊維会社東レ<3402>に入社。新人は新素材の部門を選ぶものだが、佐田さんは「一番しんどい部署」を希望。ファッションメーカーに生地を売るテキスタイル営業に配属され、「在庫の山を処分するのに苦労した」。

 ところが、4年勤めたところで突然実家から「戻ってこい」の電話。先代社長の父親からだった。3人兄弟の長男だから「いずれ継ぐことになるかもしれない」と思ってはいたが、社会人になって4年目で家業を継ぐことになるとは予想だにしなかった。

 家業はオーダースーツの製造卸をしている会社で、大手百貨店そごうの下請け工場だった。バブル崩壊後、そごうが倒産。実家も売り上げが半減、巨額の借金を抱えていた。そごうが民事再生法の適用を申請。その影響を受け連鎖倒産しそうな状況だった。(次回に続く)

取材・文:大宮知信

大宮 知信 (おおみや・とものぶ)

1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。 


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