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赤字家業を継いだ元東レ社員 オーダースーツでV字復活(下)

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逆境をチャンスに変えて

 東レ<3402>では不良在庫の山と格闘し、実家では借金の山と格闘。行く先々で困難な事態が待ち受けていたが、度々危機に陥りながらもその都度チャンスに変え再生復活してきた。

佐田社長

 大学時代、ノルディックスキーで鍛えた体育会系。へこたれない精神力はノルディックスキーで鍛えた。このスポーツを選んだのはマイナーな競技だから活躍できるチャンスがあると思ったのだ。大けがをして半年のリハビリ後、再びジャンプに戻ることを宣言、先輩たちを驚かせた。大学時代も就職も、人生の重要な節目の時はいつも楽な道ではなく、いばらの道を何となく選んできたような気がする。祖父の口癖は「男なら迷ったときはいばらの道へ行け」だった。その選択は間違ってなかった。

 アパレル業界の売り上が落ち込んでいる。問屋、小売り、メーカー、下請け工場などに分業化し、流通ルートが複雑化して、消費者の手元に届くまでに価格が高くなる。その構造的な問題に業界自身が気づいていないからだ。佐田さんは徹底した機械化を進め、オーダースーツの低価格化を実現。小売り事業を強化して経営の建て直しを図り、2度目のV字回復を遂げた。

 現在、売り上げは31億円(2017年7月期決算)にまで回復。自社工場で年間12万着を縫製。直営店は毎年5~7店舗出店しており、2017年末時点で佐田の直営店は42店舗に達する。フランチャイズのチェーン店を展開している会社もあるが、オーダースーツの直営店を展開する会社としては日本で最大手となった。

「ビジネスマンをかっこよくする」が佐田のミッション。「日常的にスーツを着る人で、佐田を知らない人がいないぐらいの会社にしたい」と意気込む。巷では「誰がアパレルを殺すのか」という本が話題になっているが、佐田さんの経営戦略に、自身の会社復活だけでなく、衣料品業界そのものを再生復活させるカギが潜んでいる。(おわり)

連載第1回 エリートから赤字家業へ
連載第2回 起死回生へ

取材・文:大宮 知信

大宮 知信 (おおみや・とものぶ)

1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。 


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