NEXT STORY
バスガイドがヒント 元医療システム営業マンがプレゼン術を指南(中)
「プレゼンのことなら何でもお任せ下さい」という人がいる。ナレッジステーション代表の伊藤誠一郎さん。プレゼンテーションの基礎知識と実践法を指導するプロフェッショナルだ。
取引先に商品のプレゼンを行うだけでなく、上司に新しい企画を伝えて承認を得る。会議で業務報告や意見を述べることもある。これらのシチュエーションで、物事を分かりやすく伝え、そして相手の理解を得ることができれば、確実に成果を上げることができる。
「これは中小企業が多いんですが、新卒の若者に入ってもらうために、自社の魅力をどうやって伝えたらいいのかというプレゼンの勉強会を行っている。そういうニーズがある」
伝える力は単なる業務処理の道具ではなく、自分をアピールするためのスキルであり「出世するための武器」になる。昨年5月には『出世する伝え方』(きずな出版)を出版。
企業研修、セミナー、地方の商工会議所などでの講演が中心。個別指導にも力を入れている。東京・日本橋に事務所を兼ねた「プレゼンテーション塾」がある。
「あそこに行ったらプレゼンを教えてくれるらしいよという場がないので、大人の塾みたいなプレゼン塾を世の中に広めて定着させたい」
個人を対象にした塾には年間70‐80人が指導を受けに来ている。個人の場合の料金は 1回3万円。2回コースが5万円。3回コースは7万円となっている。経営者とか大学教授など要職に就いている人たちが対象の「エグゼクティブコース」は、1回5万円、2回8万円、3回は10万円だ。企業の場合は規模や人数によってケースバイケース。
起業を支援する「ドリームゲートアドバイザー」という肩書きもある。例えばビジネスプランコンテストなどでは、プレゼンテーションのやり方が結果を左右する。
昨年から受験生を対象に、AO入試のプレゼン塾」も始めた。「地方在住の受験生はスカイプやラインでサポートしています」
独立して10年経った。会社員時代から比べれば、収入は倍増した。研修やセミナーで講演して、「いいお話が聞けました」と言われることが何よりうれしい。個別指導した人から「お陰様で成果を出せました」と感謝されることもある。そういう声を聞くと、プレゼンのコンサルタントになってよかったなと思うそうだ。(おわり)
文:大宮知信
1948年 茨城県生まれ。ジャーナリスト。政治、教育、社会問題など幅広い分野で取材、執筆活動をつづける。主著に『ひとりビジネス』『スキャンダル戦後美術史』(以上、平凡社新書)、『さよなら、東大』(文藝春秋)、『デカセーギ─漂流する日系ブラジル人』『お騒がせ贋作事件簿』(以上、草思社)、『「金の卵」転職流浪記』(ポプラ社)などがある。
「プレゼンのことなら何でもお任せ下さい」という人がいる。ナレッジステーション代表の伊藤誠一郎さん。プレゼンテーションの基礎知識と実践法を指導するプロフェッショナルだ。