言葉の整理をしたところで本題に戻ろう。サンタンゲルは、なぜ個人の財産を投じてまでコロンブスを支援したのか。「新キリスト教徒」として、スペイン国家の成功と発展に全霊を込めて取り組んだのだろうか。そして福音を世界の隅々まで伝播させることで、邪教に耽り地獄に落ちる憐れな異教徒を救済する計画に全人格を捧げたのだろうか。
そうではないだろう。サンタンゲルは新キリスト教徒ではなく、コンベルソだった。筆者はそう考えている...
コロンブスの第1回航海に必要とされた約200万マラベディ。感覚的にどのくらいの額だろうか。諸資料に最も頻出する換算値から平均的な値を取って、日本円にしておおよそ10億円くらいという感覚で理解しておく。その費用を一体誰が拠出したのだろうか?
レコンキスタ(イスラム教徒に奪われたイベリア半島の最征服)が進展すると、キリスト教系王国によってユダヤ人は徴税業務を担わされ、特別目的会社(SPC)のようなビークルを活用した「徴税債権の証券化」スキームを開発した。現代の財政理論にも通じる。
新型コロナウイルスの猛威が世界を覆っている。このウイルスの影響はすでに多くで語られている通り、私たちの経済社会そのものを根底から変えてしまうかもしれない。人類は昔から疫病と戦ってきた。そしてそれは大航海時代や資本主義経済の原動力となった。
この連載コラムでは「間違いだらけのコーポレートガバナンス」と題して、「コーポレートガバナンスの万能性」について懐疑的な視点から考察している。今回はこの連載の核となる「コーポレートガバナンスと企業成長、イノベーション」について説明しよう。