3.他事例の情報を活用する。

痛い目に合わないと不正・不祥事を防ぐという動きにならないかということそんなことはありません。

今回の災害対応で、的確な情報発信と迅速な対応でリーダーシップを発揮している千葉市長の熊谷俊人氏のTwitterによると、「Amazonほしい物リスト」を利用した物資寄付について、『5月に総社市訪問の際、豪雨災害で活用した話を片岡市長から聞き、研究するよう指示しておいたことがここで役に立ちました』(熊谷俊人市長のTwitter 2019年9月12日)ということです。他自治体での災害対応を積極的に情報収集し、災害が起きる前にその対応を指示していたということです。

不正・不祥事においても「自社での失敗事例」「他社事例」といった学ぶべき材料が多くあるはずです。失敗事例を生きた教科書として、「自分の事業部の対応は十分なのだろうか」「誰が担当してこの対応を推進しているのだろうか」といったことを経営陣を中心に組織全体が考えていくことで、不正・不祥事リスクに対する耐性のレベルを上げることができます。

4.予防コストと対応コスト

企業不正・不祥事の予防に関するコストと対応に係るコストに関しては、デロイトトーマツが実施した「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey2018-2020」によると、不正の発生に伴う想定コストは平均で8.26億円となる一方で、不正防止のためのコストは平均で0.99億円にとどまるということが報告されています。
(詳細な調査結果はこちら)
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/articles/frs/jp-fraud-survey-2018-2020.html

不正予防にはまだまだ力点が置かれていないと捉えることもできますし、不正が生じてた後のコストより、予防コストの方が圧倒的に低いと捉えることもできますが、いずれにせよ、今の2倍、3倍予防コストにかけたとしても、事後コストよりも圧倒的にお得といえるのではないでしょうか。

不正・不祥事は誰も幸せにはなりません。不正実行者の人生も、それに携わる回りの方々の人生も一変してしまいます。そして、不正調査は膨大なコストをかけ、調査をしている方も相当の疲弊をします。そして不正調査自体は企業の成長には結び付きません。

不正・不祥事は「あってはならないこと」と目をつぶるのではなく、どの会社でも起こりうる発生頻度の高いリスクとして捉え、事前予防、早期発見の取組を進めて頂きたいと思います。

文:株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.103 2019.9.18)より転載