【トリドールホールディングス】買収とコラボで新たな業態に挑戦
トリドールホールディングスは英国の投資ファンドと共同で、ピザ店やギリシャ料理店を運営する英国のFulham Shore PlcをTOB(株式公開買い付け)で子会社化する。
月島ホールディングスを支えるもう一つの柱が産業事業だ。水環境事業は官公需が大半を占めるのに対し、産業事業は民需を主体とする。化学、鉄鋼、食品などの産業用プラント・機器をはじめ、廃液燃焼、固形廃棄物処理、二次電池(リチウムイオン電池)製造関連設備といった環境・エネルギー分野に力を注いでいる。
戦略投資分野と位置付けるのが二次電池分野。月島が長年培ってきた晶析(成分を結晶化して取り出す)、ろ過、乾燥などの技術・ノウハウを応用し、電池の性能を左右する正極材活物資などの電極材料製造設備を手がけている。
2020年4月に高速撹拌機の専業メーカー、プライミクス(兵庫県淡路市)を子会社化した。同社は電極製造の後工程である混合に強みを持っており、二次電池分野で営業連携を進めている。買収金額は非公表。プライミクスの創業は1927(昭和2)年にさかのぼり、日本初の工業用クロムメッキ工場として大阪市で発足した東洋クロームをルーツとする。
産業事業ではM&Aの取り組みが比較的活発だ。2017年に、圧力容器、熱交換器など各種プラント機器類の製造や建設工事を手がける三進工業(川崎市)の全株式を53億円で取得し、子会社化した。プラント建設、補修工事、単体機器製造における補完が狙い。
月島として初の海外企業の買収に踏み切ったのは2014年。ドイツの工業用ろ過機メーカー、BOKELA(ボケラ)の株式80%余りを取得した(その後、完全子会社化)。ボケラは資源・素材、化学、医薬産業向け脱水ろ過分野で独自の技術を蓄積し、欧州のほかに米国に販路を持つ。
同じ2014年には、化学装置メーカーの大同ケミカルエンジニアリング(大阪市)を子会社化。製造工程で排出される廃液・廃酸の処理・処理への対応力を強化した。
月島は2023年5月をめどに新中期経営計画(2024年3月期~26年3月期)を公表する。前中計は当初3カ年でスタートしたが、期間を1年延長して2023年3月期に終了した。持ち株会社制を踏まえた事業・投資戦略や計数目標を策定するための時間が必要と判断したことによる。
前中計では成長戦略として、「エネルギー・環境事業の拡大」と「海外ビジネスの拡大」を掲げたが、次期中計でも引き続き重点課題となるのは間違いない。
エネルギー・環境は水環境事業、産業事業の双方にまたがる。具体的には次世代型汚泥焼却炉、廃液・固形燃料処理装置、二次電池設備などの拡販に取り組んできた。一方、海外ビジネスはアジア、欧州に軸足を置くが、売上高比率は全社で1割程度にとどまる。
持ち株会社制のもとで、成長戦略をどこまで加速できるのか。その手立てとして、海外を含めてM&Aにアクセルを踏み込む可能性は十二分にある。
文:M&A Online
トリドールホールディングスは英国の投資ファンドと共同で、ピザ店やギリシャ料理店を運営する英国のFulham Shore PlcをTOB(株式公開買い付け)で子会社化する。