旧東芝メモリのキオクシア、「上場」か?それとも「買収」か?

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上場と買収、どちらが「高く売れる」か?

日経平均株価は上場延期を決めた2020年9月28日の2万3511円62銭に比べると、2021年4月2日には2万9854円00銭と1.27倍に上昇している。

平均株価と同じ幅で上昇すれば公募価格は3556〜4445円、時価総額も1兆9000億〜2兆3800億円となる。これに半導体不足による需要増を見込んだ投資家の行動が、キオクシアの株価をさらに押し上げるとの期待もある。

確かにフラッシュメモリーでは、作動が正確でデータの読み出し速度が速く、耐熱性の高い「NOR(ノア)型」と呼ばれる家庭用ゲーム機や自動車向けのメモリーが需要増で値上がりしている。

しかし、キオクシアが手掛けるNAND(ナンド)型メモリーの値上がりはそれほどでもない。キオクシアが上場したとしても、公募価格がベインキャピタルや東芝の期待する水準に達するかどうかは不透明だ。

キオクシアが手掛けるNAND型メモリー価格はそれほど上昇していない(同社ホームページより)

最も大きな判断材料は「どちらが高く売れるか」だろう。WSJによるとマイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタルは「キオクシアの企業価値を約300億ドル(約3兆3200億円)と評価する可能性がある」としており、公募価格での時価総額がそれよりも低ければ売却に傾くかもしれない。

ただ、マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタルがNAND型メモリー市況をみて、企業価値の評価を引き下げる可能性もある。そうなればベインキャピタルや東芝は、IPOの方がメリットが大きくなると判断するだろう。株式公開かM&Aか、しばらくは「綱引き」が続きそうだ。

文:M&A Online編集部

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