2020年3月30日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い「東京がロックダウン(都市封鎖)宣言を発令する」との「うわさ」が駆け巡った。同日夜に小池百合子都知事が緊急会見を開くと伝えられたためで、都内に緊張が走った。
しかし、ふたを開けてみれば小池都知事の会見は「感染リスクが高いカラオケやライブハウス、バーやナイトクラブ、接客を伴う飲食店の出入りを当面自粛していただきたい」との自粛要請にすぎなかった。
しかし、小池都知事は同会見で都市封鎖の法的根拠となる緊急事態宣言について「爆発的に患者が増加しているのも事実で『感染爆発の重大局面』という言葉を使って政府と危機意識を共有してきた。最終的には国家としての判断になる」とも述べている。
小池都知事の会見予定が報じられた同日午後の定例会見で、菅義偉官房長官は近日中の緊急事態宣言と都市封鎖について「そうした事実はない。現状ではまだ緊急事態宣言が必要な状態ではないと考えている」と明確に否定している。
その最大の根拠が「東京都の感染者数は人口に比べて少ない水準にとどまっている」こと。同日時点での東京都のコロナ感染者数は443人。人口比での感染者比率は0.003%だ。では、この比率がどこまで上がったら政府が緊急事態宣言を出し、東京都の都市封鎖が断行されるのか?
すでに厳しい外出制限や都市封鎖が実施されている都市を見てみよう。同感染症の「震源地」である中国・武漢市は感染者率が0.005%に達した時点で、世界初のCOVID-19による都市封鎖に踏み切った。
ミラノ市を含むイタリア・ロンバルディア州では0.026%、米ニューヨーク市は0.105%の時点で、それぞれ都市封鎖と厳しい外出制限を決めている。いずれも東京都より深刻な段階に入ってからの判断だ。
都市名 | 国名 | 人口 | 感染者数 | 感染者比率 | 死者 | 致死率 | 開始日 | 形態 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京都 | 日本 | 13,951,791 | 443 | 0.003% | 9 | 0.0001% | − | − |
武漢 市 |
中国 | 10,892,900 | 571 | 0.005% | 17 | 0.0002% | 1月23日 | 都市封鎖 |
ミラノを含むロンバルディア州 | イタリア | 10,040,000 | 2,612 | 0.026% | 135 | 0.0013% | 3月7日 | 都市封鎖 |
ニューヨーク市 | 米国 | 8,600,000 | 9,045 | 0.105% | 99 | 0.0012% | 3月22日 | 外出制限 |
(感染者数・比率、死者・致死率はいずれも発令当時のデータ、東京都のみ3月30日)