低料金で気になるのは採算性だが、チョコザップの新規出店や広告宣伝費、スターターキットの配布といった会員基盤拡大へ向けた出費がかさみ、現時点では赤字だ。その結果、ライザップの2024年3月期第1四半期決算は28億円の営業赤字となった。同社は8月に12億5000万円の長期借入と55億円の資本性劣後ローンによる資金調達を実施している。
同社はチョコザップを低料金で大量の顧客を獲得するエントリービジネスと捉えており、登録料40万円のプライム会員制度を新設したハイエンドビジネスの「RIZAPボディメイク事業」と相互補完することで経営基盤の安定を目指す。75万人もの膨大な顧客情報も、貴重な経営リソース(資源)となる。現在の赤字は、そのための先行投資というわけだ。
徹底したコストダウンで低料金を実現したチョコザップ。だが、万人向けのフィットネスクラブではない。大汗をかく長時間トレーニングをした後にシャワーがないのは、自宅の近所でなければつらいだろう。事故防止のスタッフがいないダンベルやバーベルなどのフリーウエイトは置かれてないため、本格的な筋肉トレーニングには向いていない。
チョコザップは、あくまで運動不足解消や体重管理といった軽運動向きの施設だ。とはいえ軽運動をやりたいユーザーにとっては、既存のフィットネスクラブが「オーバースペック」なのは確か。さらには大手サロンでも導入されているというエステマシンやセルフ脱毛マシンなどの女性向け機器も充実している。利用する目的に応じて、上手に使い分けたい。
文:M&A Online