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「ワタミ」の株価が決算発表後の急落から、じわじわと回復している件

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尖った業態開発が下手なワタミがとった巧みなマーケティング戦略

「ミライザカ」と「鳥メロ」がなぜ当たったのか。理由は2つあると考えられます。

①業態を流行りの専門店に寄せすぎなかったこと

②Webを活用した巧みなマーケティング戦略

①を深く理解するためには、居酒屋業界の潮流とワタミの強みを知る必要があります。まずはそこから。

ワタミのベースとなる渡美商事は、もともと総合居酒屋「つぼ八」のフランチャイズ加盟店でした。1984年設立です。当時はバブル全盛期。ナウいヤングにバカうけのお店こそ、総合居酒屋だったのです。

和民コースメニュー
和民コースメニュー


会社員の憩いの場だった「赤ちょうちん」を、もっとカジュアルに敷居を下げ、様々なメニューを取りそろえたお店が総合居酒屋でした。広々とした空間、洋食から和食までの幅広いメニュー、数十種類が飲み放題の手軽な価格。「つぼ八」「白木屋」「天狗」などが、若者が集まる街「新宿」や「渋谷」に次々とオープンしました。この後、ベンチャー・リンクのようなフランチャイズ拡大支援企業が登場し、居酒屋業態は隆盛を極めるわけです。

さて、ワタミです。和民の1号店は1993年、つぼ八からの業態転換が始まりでした。そこから快進撃が始まります。ワタミと他のチェーン系居酒屋の一番の違いは何か。フランチャイズか直営か、です。飲食店を全国展開しようとすると、まず思いつくのがフランチャイズ。加盟店を募って上前を撥ねる方が手っ取り早いからです。しかしながら、代表の渡邉美樹氏は直営にこだわりました。目の届く社員が運営することで、サービスと料理の質を落ちないようにしたのです。

この経営姿勢に感化された大卒者が多く集まり、経営体制が強化。業界の覇者となるわけです。バブルが弾けて就職氷河期に入り、希望する職種に入り込めなかった学生の受け皿になったという側面もあります。

磯丸水産
磯丸水産


居酒屋業界は2000年に入ってから大きく変わりました。総合居酒屋が廃れたのです。その代わりに専門店が多くなりました。

2005年東京初出店「鳥貴族」→焼き鳥

2007年オープン「塚田農場」→地鶏

2009年オープン「磯丸水産」→海鮮浜焼き

などなど。背景には、情報が溢れるようになり、どれも同じに見える総合居酒屋の集客フックがなくなったと考えられます。

このころ、ワタミも「カーラ・ジェンテ」というイタリア料理に特化した業態を開発しましたが、早々に退店しました。ワタミは尖った業態の開発ができない、あるいは上手くない企業です。現在、GOHANというイタリアン業態を再度展開していますが、公式ページを見るとわかる通り、メニューや店舗の見せ方は明らかに「総合居酒屋」。この領域から抜け出すことができません。逆を言えば、ワタミの強みは居心地の良い空間の提供と、絶対に外さない料理のおいしさ。すなわち、安定感です。

「ミライザカ」と「鳥メロ」は、この時代背景と同社の爪が、上手くかみ合って誕生した業態でした。

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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