新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本を後目(しりめ)に、ドイツや米国が経済活動再開に動き始めた。いずれ日本も感染が終息し、経済活動が再開されるのは間違いないが、新型コロナ後の経済はどのようになるのだろうか。

米国シリコンバレーに本社を構えるベンチャーキャピタルのペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマン共同代表パートナー兼CEOに、新型コロナが投資の世界にもたらした変化や、新型コロナ後に注目される業界や企業について聞いた。

AIで人がいなくても製造できるように

-新型コロナウイルスは投資家にどのような影響を与えましたか。

米国をはじめ多くの国でシャットダウンが続ており、経済に大きな影響が出ている。全体的にビジネスがスローダウンしており、目標としていた数字が取れなくなってきている。

これに伴ってベンチャーに投資する企業は慎重になっている。投資先のベンチャーが新型コロナウイルスに対応してビジネスを行っているのかを気にしており、他の投資家の動きも気にしている。ベンチャーにとっては資金調達が厳しくなっていくと思われる。

-どのような対策を取っているベンチャーが評価されるのでしょうか。

まずは、やらなければならないことを2種類に分けるべき。やらなければならないことと、やってもよいことのリストを作らなければならない。例えば今はマーケティングはやる必要はない。なぜかというと経済がスローダウンしており、商品が売れないためで、投資家はベンチャーに対してマーケティング費用を削減するとか、新しい採用を中断するなどの対策を期待している。

無駄なお金を使わないで、保有している資金をできるだけ長くキープできるようにしてほしい。こういう企業であれば既存の投資家は自信が持てるし、もっとサポートしていきたいという気持ちになる。

-具体的にはどのような企業に注目されていますか。

我々ベンチャーキャピタルとしても注意して投資していかなければならない。新型コロナ終息後にどのような分野のどのような企業が伸びていくのか慎重に検討している。そこで出た結論の第一は野菜などをオンラインで注文して接触せずに受け取ることができるサービス。

すでに米国ではinstacartやpostmates、 DoorDashなどの企業が急成長しており、ロボットがデリバリ-するサービスを手がけるNuroやStarship Technologiesなどの企業もある。

第二は遠隔医療の分野。すでにSense.lyという企業がAI(人工知能)とアバターを使って、新型コロナウイルスをはじめいろんな質問に答えてくれるサービスを手がけている。日本でもこのサービスは利用されている。このほか米国では98point6、Ro、Amwellなどの企業も成長している。

第三はAI技術とオートメーションに関連する製造業の分野。人が設備を動かさなければならない企業では新型コロナウイルスの感染拡大に伴って生産能力が落ちた。生産能力を上げるためにロボットとAIの開発が急速に進むとみている。新型コロナウイルス終息後は人がいなくても製造できる体制に移っていくだろう。日本ではArithmer、Preferred Network、Mujin、Ascent Roboticsなどの企業に注目している。

第四はオンライン教育。海外ではOutSchool、Byuju、Topperなどが成長している。日本にもLifeisTech、Div、atama plus、Smart Education、Schoo、Street Academyなどの企業がある。これら企業は新型コロナウイルス終息後に跳ねそうだ。

アニス・ウッザマン氏

ペガサス・テック・ベンチャーズは、米国、日本、東南アジアで170社以上のスタートアップ企業に投資しており、海外ではQuibi、Airbnb、23andMe、Bird、SoFi、Rigetti、ThirdLove、Vicarious、Genius、Color、日本ではマネーフォワード、メタップス、エボラブルアジア、AI CROSS、ZUU、ジーニー、FiNC、テラモーターズ、モンスターラボ、ユニファなどがある。

聞き手:M&A Online編集部 松本亮一編集委員