有利子負債は1兆円超、マレリが事業再生ADRを申請

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※画像はイメージです Dayron Villaverde from Pixabay

マレリホールディングス(株)が事業再生ADRを申請 取引金融機関は約30先

公開日付:2022.03.02

 マレリホールディングス(株)(TSR企業コード:022746064、法人番号:7010001178910、さいたま市北区日進町2-1917、設立2016(平成28)年10月、資本金1億円、代表取締役: デイヴィッド・ジョン・スランプ氏ほか)は3月1日、事業再生実務家協会に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請した。
 2020年12月期現在の有利子負債合計(単体)は1兆1707億9300万円で、取引金融機関はメインバンクのみずほ銀行のほか、中国や韓国などアジア各国の金融機関、日本の生命保険会社など約30先。
 事業再生ADRは民事再生法など法的手続きによらない再生手続き。通常、金融債務のみを対象とし商取引債務は対象外だが、原則、全対象債権者の合意が必要で、合意を得られなければ法的手続きに移行する可能性もある。

 マレリホールディングスは、大手自動車部品メーカーのマレリ(株)(TSR企業コード:291139833、法人番号:8030001014831、同所、設立1938(昭和13)年8月25日、資本金4億円、代表取締役:藤井司氏)を中核として複数の企業でグループを形成している。
 マレリは、空調システムや内装など自動車部品の製造を手掛け、旧:カルソニックカンセイ(株)として知られる。2005年に日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、法人番号:9020001031109、横浜市西区)の出資を受け、連結子会社となっていた。その後、日産自動車の事業再編により、2016年に米国投資会社KKRのグループが当社を買収し2017年5月に上場廃止した。

 2018年3月期にはマレリ単体では売上高3523億7100万円、当期利益103億2400万円を計上。2019年にはイタリアの大手自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリと経営統合し、事業拡大を狙っていた。事業再編や構造改革を進めていたが、主要取引先の日産自動車の不振や新型コロナウイルスによる自動車メーカーの生産数の減少、半導体不足などから経営が急激に悪化。2020年12月期(2019年に決算期変更)は売上高2148億2600万円まで落ち込み、3期連続の赤字となる282億1400万円を計上。資金繰り悪化による当社の支払い振りに注目が集まっていた。
 3月7日に第1回債権者会議が開催される予定。

マレリの本社(TSR撮影)©東京商工リサーチ

東京商工リサーチ「データを読む」より

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