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トヨタがテスラの急速充電規格を採用、どうなる国産「チャデモ」

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「コンボ」との規格争いのうちに、ダークホースのテスラが席巻

しかし、その後は国産EVの新型車投入が停滞している間に海外でEVの開発ラッシュが起こり、2020年以降は欧米や中国が提唱した充電ステーションの新方式に、充電速度や小型軽量化といった技術面で取り残された。すでに日本車メーカーでも海外向けのEVにはチャデモではなく、欧米規格の「コンボ(CCS)」を採用している。

一時はチャデモとコンボとの世界標準争いで「コンボが有利」と見られていた充電方式だが、テスラの「乱入」により、わずか1年で「世界標準に背を向けた独自規格」だったはずのNACSがデファクトスタンダード(事実上の世界標準)で全面勝利を迎えそうな勢いだ。

「世界標準」に近づきつつあるテスラの充電ステーション「NACS」(Photo By Reuters)

あと一歩のところで世界標準を逃した「コンボ」はアダプタを使えばNACS方式での充電も可能だ。一方、NACS規格のテスラ車にはチャデモ方式のステーションでも充電可能なアダプタはあるが、その逆であるNACS方式のステーションでチャデモ規格のEVに充電するアダプタは存在しない。

いずれこうしたアダプタが発売される可能性はあるが、既存EVのユーザー向けのオプションになるだろう。新車ではチャデモ規格の充電口が廃止され、NACS規格に入れ替わることになりそうだ。「日本発の世界標準」として期待されたチャデモだが、残念ながらその役割を終えつつある。

文:M&A Online

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