北九州市が全国初の試み「サーチファンド」と連携して事業承継に挑戦

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左から中島光夫Growthix Capital代表、武内和久北九州市長、伊藤忠志山口キャピタル代表取締役

北九州市がサーチファンド(個人が投資家からの資金援助を受けM&Aによって経営者になる仕組み)を活用した市内企業の事業承継問題の解決に乗り出した。

同市は2023年9月4日、サーチファンドのGrowthix Capital (東京都中央区)と、山口キャピタル(山口県下関市)の両社と連携協定を結び、後継者不在企業と後継者候補人材(サーチャー=経営者を目指す個人)とのマッチング事業をスタートした。自治体がサーチファンドと連携協定を結ぶのは、これが初めてという。

同日、北九州市内で行われた連携協定締結式で、武内和久北九州市長は「後継者に苦しまれている企業に活用していただいて、そうした企業がさらに発展し、成長企業が生まれてくる。そうした事例をまずはしっかりと作っていきたい」と述べ、サーチファンドによる事業承継に意欲を見せた。

調査活動経費の半分を補助

Growthix Capitalと、山口キャピタルの両社はそれぞれ、サーチファンドによる事業承継手法や事例の紹介、後継者不在企業の選定、後継者不在企業とサーチャーなどとのマッチングなどに取り組む。

まずは北九州市と共同でセミナーなどを開催し、後継者不在企業の掘り起こしを行い、サーチャーを絞り込んだうえで、サーチャーによる後継者不在企業の視察や、当該企業の経営者との面談などを行う予定。

北九州市は、北九州市内でのサーチャーの調査活動経費(旅費や宿泊費など)の半分を補助(上限50万円)する。

【サーチファンドを活用した事業承継スキーム】

Growthix Capitalのニュースリリースより

市内中小企業の42%が後継者不在

北九州市は、市内事業所の99%が中小企業で、従業員の80%が中小企業に属している。また、市内中小企業の42%が後継者不在で、このうち23%が第三者への事業承継を検討しているという。

サーチファンドは、サーチャーが経営したい企業を探し、 サーチャーと企業の両者が合意すれば、サーチファンドが資金を提供し事業承継を行うもので、経営者とサーチャーが面談などを通じて信頼関係を築きやすく、意欲や能力の高い若手経営人材を確保できるなどのメリットがある。

Growthix Capitalの中島光夫代表は北九州市出身で「故郷である北九州の地域経済を守り、発展させる一助を担うことを夢見てきた。若手経営者の就任を増加させ『人口100万人復活』『稼げる街に』を実現していく所存」とあいさつ。

伊藤忠志山口キャピタル代表取締役は「山口キャピタルは北九州銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループの投資専門家会社。サーチファンド事業の国内初案件は、弊社グループが手がけた北九州市内の企業であり、縁の深い北九州市と連携させていただけることはとても感慨深い」と語った。

文:M&A Online

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