相次ぐサーチファンドの設立「エキサイト」が参入 

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写真はイメージです

サーチファンド(個人が投資家からの資金援助を受けM&Aによって経営者になる仕組み)を設立する動きが広まってきた。

ネットメディアの運営やインターネット接続サービスを手がけるエキサイトホールディングス<5571>は、子会社のM&A BASE(東京都港区)を通じて、サーチファンドアクセラレーター(事業成長の促進)事業に参入する。

近く「M&A BASEサーチファンド1号投資事業有限責任組合」を立ち上げる計画で、M&A BASEが無限責任組合員となり、事業会社や地域金融機関(有限責任組合員)からの出資を見込む。

後継者不在の中小企業の事業承継を支援するとともに、IT技術の導入や新しい働き方人材の採用などを通じて投資先企業の成長を加速させるのが狙いだ。

サーチファンドは、横浜銀行(横浜市)が2023年3月に「サーチファンド未来創造」を設立するなど関心が高まっており、今後も同様の取り組みが表面化しそうだ。

事業承継と企業成長を支援

新設するM&A BASEサーチファンドは、ファンド総額が20億-30億円で、企業価値5億-30億円の中小企業を対象に投資(運用期間10年)を行う。

エキサイトやM&A BASEが、IT業界で蓄積したビジネスノウハウやネットワークを駆使して、投資先企業に人事制度やリスキリングを通じた新たな組織作りなどを支援するほか、新規顧客の獲得やPR、ブランディング価値の向上などにつながるデジタルマーケティング技術なども提供する。

さらに投資先企業と、大手企業や新興企業との事業提携を積極的に進め、新しいビジネスチャンスの創出にも取り組む。

M&A BASEはM&Aのアドバイザリーや仲介、コンサルティングなどを手がけており、2023年6月にエキサイトの傘下に入った。

同社の廣川航代表取締役パートナーは「ITの知識、M&Aの専門性、独自のネットワークを活かし、経営者と事業承継を必要とする中小企業を効果的に繋ぐプラットフォームの役割を果したい」としている。

サーチファンドによる事業承継、2023年は過去最多に

サーチファンドは、サーチャー(事業承継先を探している個人)が、ファンドから資金の提供を受け、中小企業を買収し成長のための経営を行うもので、日本では2015年ごろから注目され始めた。

2023年上期(1-6月)はサーチファンドによる事業承継件数が5件に達しており、2022年、2020年の年間件数と並んだ。2023年は通年では過去最多を更新する可能性が高い。


文:M&A Online

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