外商が抱えるプレミアム会員と投資信託保有層が一致

伸び悩む百貨店事業の期待の星が、富裕層向けのサービスを展開する外商です。外商は売上全体の20%を占めており、第2四半期は前年比4.2%増と好調でした。

この外商部が投資信託を販売し、20億円の新しい利益を作るというのが新しく打ち出した成長戦略の一つです。既存事業である決済・ローンと、投資信託の販売で50億円利益を底上げする計画です。

高島屋新規成長戦略
高島屋決算説明資料より

百貨店が投資信託販売に乗り出すと聞くと、いかにも突拍子もないことのようにも感じられます。しかし、外商部が抱えるプレミアム会員と投資信託を保有する層は一致しており、その判断は合理的なものです。

下の表は、タカシマヤカードプレミアム、ゴールド、プラチナデビットカードの会員の年齢層と、投資信託を保有する層を比較したものです。

高島屋プレミアム会員投資信託保有者
20代0.7%7.1%
30代5.9%12.3%
40代15.8%17.0%
50代22.9%15.0%
60代24.7%26.5%
70代19.9%22.1%
80代10.1%-

タカシマヤメディアガイド、投資信託に関するアンケート2019年3月(投資信託協会)より筆者作成

高島屋が抱えるプレミアム会員も投資信託の保有者も、60代が最も多くなっています。40代から層に厚みが出るのも同じです。外商部の富裕層は、投資信託販売のターゲットに最適なのです。会員数は約23万人。年収2000万円以上が20%、1000万円以上が60%を占めています。年間100万円を超える買い物をしている会員は50%と、生活に余裕があって売りやすい顧客を抱えています。

投資信託の保有者が、購入に至ったきっかけとして挙げている理由の1位が「金融機関の人に勧められて」(52.5%)、2位が「経済的に余裕ができた」(13.7%)となっています。外商部は金融商品を販売するのに最適な土壌を持っていると言えます。

気になるのは、掲げている目標の妥当性です。5年後に営業利益20億円はやや高いように見えます。仮に営業利益率が50%、投資信託の販売手数料が3%だったと仮定すると、預かり資産はおよそ1300億円以上となります。23万人の会員の40%が投資信託を購入した場合、1人あたりの預け金は150万円。しかも、毎年購入した投資信託とは別のものに乗り換えを促して、手数料を稼ぎ続けなければなりません。目標達成の難易度は非常に高いです。

顧客満足度を下げることなく、計画通りの利益を出すことができるのか。百貨店の新しい取り組みに注目が集まっています。

麦とホップ@ビールを飲む理由