新型コロナのワクチンと治療薬を開発中の「塩野義」3期連続の減益に

alt

新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の開発に取り組んでいる塩野義製薬<4507>は11月1日に発表した2022年3月期第2四半期決算で、2022年3月期(通期)の売上高を上方修正したものの、利益はそのまま据え置いた結果、3期連続の減益が避けられない見通しとなった。

新型コロナのワクチンや治療薬の開発に、引き続き積極投資を継続することが、利益が好転しない理由で、営業利益の減益率は前年度の10.1%を大きく上回る23.4%もの落ち込みとなる。

国産のワクチンや治療薬に対するニーズは高く、同社はワクチンについて2021年12月までに、第3相臨床試験を始め、2022年3月までに実用化を目指すとしている。治療薬についても2021年12月までに承認申請にこぎ着けたい考えという。

減益決算が続く同社だが、計画通りに開発が進めば、積極投資の成果が現れるのはそう遠くはないかもしれない。

ワクチン、治療薬に積極投資

塩野義の2022年3月期第2四半期は、海外売上高や製造受託などが堅調に推移したものの、国内市場で後発品参入によるマイナス影響が現れたほか、ロイヤリティー収入の減少などから、売上高は前年同期比2.3%の減収となった。

利益は新型コロナのワクチンや治療薬などのへの研究開発投資により販売費や一般管理費、研究開発費が増加したため、営業利益、税引き前利益はいずれも20%を超える減益となった。ただ、当期利益は大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を計上したため、同1.5%の増益だった。

こうした状況を踏まえ2022年3月期の業績見通しを修正したもので、売上高は当初予想よりも40億円多い2940億円(前年度比1.1%減)を見込んでおり、減収率は上半期(同2.3%減)の半分以下に縮小する。

ただ利益は当初の予想と変わらず、営業利益は900億円(同23.4%減)、税引き前利益1150億円(同19.6%減)、当期利益1000億円(同10.6%減)を据え置いた。

売上原価の低減などに取り組むものの、新型コロナのワクチンや治療薬をはじめとする注力プロジェクトへの積極投資が足を引っ張る見込みだ。売上高、利益ともに3期連続の減少となる。

【塩野義の業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想、2019年3月期は日本基準、他は国際財務報告基準

2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
売上高 3637.21 3333.71 2971.77 2940
営業利益 1385.37 1306.28 1174.38 900
経常利益(税引き前利益) 1665.75 1585.16 1430.18 1150
当期利益 1327.59 1221.93 1118.58 1000

安全性と有効性を評価中

塩野義が開発中の新型コロナワクチンは、昆虫細胞などを用いる遺伝子組み換えたんぱくワクチンで、現在2回接種した際の安全性や有効性などを評価している。

治療薬はウイルスの増殖に必要な「3CLプロテアーゼ」と呼ばれる酵素を阻害することでウイルスの増殖を抑えるもので、現在は軽症患者か無症候の感染者を対象に1日1回、5日間経口投与した際の安全性や有効性などを評価している。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

新型コロナの「国産ワクチン」一番乗りはどこ?

新型コロナの「国産ワクチン」一番乗りはどこ?

2021/10/26

KMバイオロジクスが、塩野義製薬から2日遅れの10月22日に新型コロナワクチンの第2/3相臨床試験を始めた。第一三共も11月に第2/3相臨床試験を始める。国産ワクチン一番乗りはどこだろうか?