中小M&A実施後のPMI指針を策定へ 中小企業庁

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経済産業省(東京・霞が関)

事業承継ガイドライン改訂と足並み

経済産業省・中小企業庁は2021年度、中小M&A実施後の経営統合(PMI)に関する新たな指針を設ける。既存の「事業承継ガイドライン改訂検討会」の下に新設した「中小PMIガイドライン(仮称)策定小委員会」(座長・松中学名古屋大学大学院法学研究科教授)で、M&Aの効果を最大化するPMIの在り方や進め方を話し合う。

事業承継ガイドラインは2006年度、事業承継の認識向上と早い段階からの計画的な準備を促す目的で策定。2016年度には、中小企業の技術・ノウハウも受け継ぎ、世代交代を通じた活性化の促進を目指して改訂された。さらに、新型コロナウイルスの影響で中小企業の経営環境が厳しさを増す中、2021年度中には再度の改訂が予定されている。

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承継円滑化へPMIの支援拡充を論議

検討会では円滑な事業承継の推進に向けた予算や税制、法令といった各種支援策の創設などが論点となっている。小委員会でも、中小M&Aの円滑化に欠かせないPMIへの段階的な支援拡充を模索する。

経営戦略の1つであるM&Aを事業の成長につなげられるかどうかは、M&A実施前の経営状況・課題などの現状把握(見える化)と改善(磨き上げ)、M&A実施後の効果的なPMIがカギとなる。しかし、譲受側が中小企業の場合は、こうした取り組みの重要性に関する認識が不足している実態も見受けられる。

こうしたことから、PMIのための予算など独立したリソースが確保されるケースはまだまだ珍しく、中小企業向けのPMIに携わる事業者も極めて少ないのが実情。このため、M&A支援機関の間でさえ、PMIでフォローすべき内容の共通認識が形成されていないという課題もある。

小委員会の委員は学識者や弁護士、中小企業診断士のほか、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)、PMI支援サービスを提供するコンサルティング会社の代表者、PMI経験を持つ中小企業者の計10人。10月5日に開かれた初会合では、特に考慮すべき中小企業の特性やM&Aの実施形態、ガイドラインの対象とするPMIの射程などを討議した。

「M&Aの目的、理由に合わせた指針を」

10月12日に公表された初会合の議事録によると、各委員からは「M&Aの目的(垂直結合、水平結合、異業種参入、業態転換など)を切り分けた議論を」「後継者不在を理由に譲渡する企業と、次のステージへの成長を理由に譲渡する企業の違いを考慮して」といった意見が出た。M&A実施後に問題が起こらないよう「デューデリジェンス(DD)の段階から実質的なPMIを始めることが重要では」との指摘もあった。

小委員会は2022年2月頃までに計5回の会合を重ね、中小PMIの新たなガイドラインを取りまとめる。3月上旬に予定される検討会の場で最終決定する予定。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
M&A実施後の経営統合に関する指針策定に向けて第1回中小PMIガイドライン(仮称)策定小委員会を開催します (METI/経済産業省)
中小企業庁:中小PMIガイドライン(仮称)策定小員会(第1回) 配布資料 (meti.go.jp)
令和3年度 第1回中小PMIガイドライン(仮称)策定小委員会 議事要旨001_gy.pdf (meti.go.jp)

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