東証が、MBO(マネジメント・バイアウト。対象会社の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を購入すること)について、対象会社側に新たなルールを義務付けることを検討していることが明らかになりました。
具体的には、東証の有価証券上場規程において規定されている「企業行動規範」において、対象会社側に対し、(i)特別委員会の設置、(ii)少数株主が企業価値に見合った正当な利益を得られているかに関して特別委員会から意見を入手すること、及び(iii)経営陣から提案された買収後の事業計画の詳細の開示等を義務付けるほか、特別委員会に対しても意見を出す際にかかる意見の根拠を明示すること等を義務付けることが検討されています。
今回新たに制定されるルールは、創業家の大株主が不当に安い価格で非上場化することを阻止し、少数株主の利益を守ることが目的とされています。
MBO における対象会社側への実務上の指針としては経済産業省が公表している「公正な M&A の在り方に関する指針」がありますが、当指針に法的拘束力はありません。一方、仮に新ルールが企業行動規範に盛り込まれる場合、ルール違反時に制裁が科される可能性があります。
2025 年 2 月 3 日現在において、新ルールの内容及び違反時の罰則等の詳細は公表されていませんが、新ルールが施行された場合、M&A 実務に与える影響は大きいものと考えられますので、今後の動向に注視する必要があります。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 藤井 啓樹
森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2025年2月号(第134号)より転載
『ダイヤモンドMOOK M&A年鑑2025』を100名様にプレゼント
発売にあたり、2025年2月28日までにご応募いただいた方を対象に抽選で100名様に『ダイヤモンドMOOK M&A年鑑2025』をプレゼント。下記のバナーをクリックすると応募できます。SNSキャンペーンからも応募可能ですので、ぜひ皆様、ご参加ください!
中小企業庁は、事業承継・M&Aをより一層推進するための必要な施策の方向性を検討するために、「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」を改組し、中小企業の事業承継・M&Aに関する検討会を設置しました。
買収防衛策を巡って活発な議論が行われるのは、日本の買収やその防衛策の法理は欧米とは異なるため、当然であり、今後のM&Aマーケットの発展のためには有益なことであると思われる。