2009年、愛する人の帰りを待ちながらイギリス軍基地で暮らす女性たちが合唱団を結成した。互いを支え合うために始めた活動はBBCの人気テレビ番組「The Choir」で取り上げられ、やがて全英中、そして世界各地へと広がるムーブメントとなっていく。
映画『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』はこの実話をベースにした作品で、5月20日より公開される。合唱団結成を主導した二人の妻ケイトとリサを、米アカデミー賞®ノミネート&英国アカデミー賞(BAFTA)受賞のクリスティン・スコット・トーマスと、BAFTAノミネート経験者のシャロン・ホーガンが演じている。
メガホンを取ったピーター・カッタネオ監督に本作に対する思いやキャスティングのポイント、合唱団が歌う80年代を中心とした有名ポップ・ソングの選曲理由などを語ってもらった。
――本作は愛する人をアフガニスタンへ見送り、その帰りを待ちながらイギリス軍基地で暮らす女性たちが合唱団を結成した実話を映画化したものです。監督のオファーはご自身のどんな部分を期待されてのことだと思いましたか。またそれに対して、どう応えようと思いましたか。
コンセプトの段階でオファーされたのですが、 この作品の音楽やストーリーがリアリティーに根差しているので、“ユーモアとドラマ性のバランスをうまく表現できる”と期待されたのだと思います。
ただ、主人公たちが女性なので制作にあたっては女性の視点が入った方がいい。「自分が監督をするのであれば、脚本家は女性にしてほしい」とプロデューサーに伝え、レイチェル・タナードとロザンヌ・フリンが脚本を書くことになりました。これは結果的に正しかったと思います。彼女たちは合唱団の女性たちに聞き取りをする中で仲良くなって、いろいろなエピソードを引き出してくれました。
――女性2人に脚本を任せたとのことですが、ストーリーの基本的なところは監督が考えられたのでしょうか。
物語を語る上で、中心となる人間関係は必要です。主人公は2人の女性で、そのうちの1人は軍に入った息子を戦場で喪っている。これは私が考えました。その上でアンサンブルとなるように何人かのキャラクターが登場するという構図はみんなで考え、それをロザンヌとレイチェルが細かい部分まで掘り下げてくれたのです。リサーチをしっかり行い、事実を間違って描くことがないよう細かいところも意識して作りました。実際に基地で生活している方がご覧になったときに違和感がなかったようです。たくさんの方々から「これは自分の人生だ」などと言っていただけました。
――女性の軍人の存在や彼女の同性婚パートナーが家族として基地に住んでいることに驚きました。イギリスでは普通にある話なのでしょうか。
英国でもそんなに多くはありませんが、起こりうることであることは確認してあります。多様なキャラクターを描きたいという意図があり、そういう設定を加えました。
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