司馬遼太郎の『燃えよ剣』を実写化 原田監督が幕末の動乱を描く

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© 2021 「燃えよ剣」製作委員会

原田眞人監督が“日本の変革期”を描く『燃えよ剣』

歴史小説の巨星・司馬遼太郎の『燃えよ剣』。新選組副長の土方歳三を主人公に動乱の幕末を1962年から2年間に渡って描き、累計500万部を超える国民的ベストセラー小説として今も読み継がれています。本作品が2度目の映画化となります。

監督は『日本のいちばん長い日』『関ヶ原』の原田眞人監督。主演は『関ヶ原』に続いての原田監督とのコンビとなる岡田准一。アクションスターとしての一面を持つ岡田准一は、今作でも殺陣設計に参加しています。

共演には柴咲コウ、鈴木亮平というNHK大河ドラマの主演俳優が並びました。岡田准一も『軍師官兵衛』に主演していますので、大河ドラマ主演俳優が3人も揃った実に豪華な並びとなりました。

また、芹沢鴨をインパクト抜群に演じる伊藤英明や、徳川慶喜役の山田裕貴、尾上右近、柄本明、山田涼介、村上虹郎など、主役級の俳優が登場しています。

あらすじ

函館で旧幕府軍を率いている土方歳三(岡田准一)は、幕末にわずか6年だけ存在した新選組の歴史について語り始めます。

多摩の百姓の出ではあるものの武芸に秀でていた歳三は、触るとけがをする茨(いばら)のような乱暴者を意味する「バラガキ」として同郷の近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)らと共に剣術に明け暮れていました。

そんな中、過激浪士が跳梁跋扈する京都の守護をするために、出自を問わずに関東近在の者たちに声がかかります。

尊王、攘夷、倒幕、など多くの野望が渦巻く中で歳三は近藤勇を担ぎ、水戸藩出身の豪傑・芹沢鴨(伊藤英明)らとともに京都守護職の会津藩の後押しを受けて新選組を結成します。

桂小五郎(淵上泰史)ら長州派などと熾烈な闘いを展開、その中にはあの有名な”池田屋事件”もありました。

しかし、時代の流れが変わり、徳川慶喜(山田裕貴)は大政奉還。新時代・明治を迎えます。時代が変わりつつある中、近藤勇が江戸で斬首となり、沖田総司が病に倒れてしまいます。歳三は函館・五稜郭に身を置いていましたが…。

原田監督がこだわる”日本の転換点”

金融腐蝕列島 呪縛』『クライマーズ・ハイ』『検察側の罪人』など、社会派のテーマと映画としてのエンターテイメント性を天性のバランス感覚で安定的に作品を発表し続ける原田眞人監督。その監督が好む時代設定が“日本の変革期”です。

特に原田監督が大きな”日本の変革期”として捉えているのが、戦国時代を終わらせた「天下分け目の関ヶ原の合戦」と太平洋戦争の終戦を迎えた「1945年の夏・8月15日」。そして、武士の時代の終わりを迎えた「動乱の幕末期」です。

これまで岡田准一が石田三成を演じた『関ヶ原』と、役所広司や本木雅弘らによる『日本のいちばん長い日』をそれぞれ手掛け、二つの変革期を描いてきた原田監督がその集大成として動乱の幕末を描く『燃えよ剣』を作り上げました。

原作から、要所要所を巧く組み上げていく手腕は流石です。これだけスケール感のある映画をコンスタントに撮り続け、しかもヒットさせているという点において、原田眞人監督は日本映画界にとって貴重な存在と言えるでしょう。

© 2021 「燃えよ剣」製作委員会

大河ドラマ主演俳優3人そろい踏み

主演の岡田准一も、もはやジャニーズ事務所所属のアイドルという括りからは、外しても良いほど俳優として確固たる地位を確立し、本作ではオールスター映画の座長として作品を引っ張っています。岡田自身も「土方歳三役はいつか演じるのではないかと思っていた」との言葉通り、演技から思い入れの強さを感じます。

原田監督の時代劇ではおなじみの重要文化財、世界遺産、国宝級の寺社仏閣でのロケーションも見事です。池田屋は宮大工の手によって一から建てられたほか、周辺の京都の街並みも完全再現、それは125mにも及ぶ巨大なセットとなりました。

映画『燃えよ剣』は2時間28分と少し上映時間の長い映画ではありますが、岡田准一を中心とした豪華キャストが織りなす自然な芝居とダイナミックなアクションが合わさった原田監督の演出、そして贅沢なロケーションによって、最後まで飽きることなく楽しめる映画になっています。

文:村松健太郎(映画文筆家)

作品データ
『燃えよ剣』
出演:岡田准一 柴咲コウ 鈴木亮平 山田涼介、伊藤英明
原作:司馬遼太郎「燃えよ剣」(新潮文庫刊/文藝春秋刊) 
監督・脚本:原田眞人 
配給:東宝 アスミック・エース  
公式HP:moeyoken-movie.com
公式twitter:@moeyoken_movie /公式Instagram: @moeyoken_movie
10月15日(金) 全国ロードショー
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「燃えよ剣」公式サイト
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村松 健太郎 (むらまつ・けんたろう)

映画文筆家

2002年から映画館勤務で業界入り。2016年頃から映画文筆家として活動を開始。脳梗塞を患ったために杖片手に試写室や映画会社を行ったり来たりしています。映画祭の審査員やインディーズ映画の宣伝などもしていますが、興行出身ということもあって、少しでも多くの人の足が劇場に向かってほしいと願う日々です。年間300本の新作とそれ以上の過去関連作を見て回っています。 

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