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“成功確率を上げる”事業再生の進め方(1)

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事業再生のプロセスは医療と似ている。

事業再生成功の第一歩は初期診断での難易度見極め

事業再生は良く医療に例えられる。企業を人に例えれば健康診断の検査数値が悪い(業績が芳しくない)ため、ドクター(=企業再生の場合はコンサルタントなどのプロフェッショナル)の元に相談に来る。医療で言えば初診に当たる。

この段階で財務諸表や定性的な情報を見聞きして初期診断を下すのだが、この時点で事業再生の難易度と症状を見極める必要がある。逆に言えばこの時点で見極められなければ、その人をプロフェッショナルとは呼べない。

初診の時点では、対象企業の状況をおおよそ次の3つに分類する。

1つめは「本業堅調・不良資産保有企業」=本業は堅調で、本業とは別の不良資産がある企業

2つめは「本業堅調・高コスト構造」=本業の収益構造(粗利)は堅調だが、販管費が焼け太りして高コスト体質になっている企業。

そして、3つめは「本業低迷企業」=本業の収益構造(粗利)が崩れている、ないしは低調な企業がこれに類する。

言うまでもなく、前者から後者にかけて難易度は上がっていく。よく経済ニュースで「XXX人リストラ。早期退職制度募集」「本社、工場売却」といった発表がされるも、その後いつまでたっても黒字化のめどが立たない企業が見受けられるが、これは3番目の分類に属するためだ。

「本業低迷企業」では、リストラだけでは黒字化しない。例え1期だけ黒字化できたとしても、それは束の間の効果ですぐまた赤字に転落する。本業の収益構造に対して抜本的かつ的確な手を打たない限り、100%再生はあり得ないのだ。

1つめの分類としてあげた「本業堅調・不良資産保有企業」は2000年代初頭に多く見られた。典型的なケースは、バブル崩壊の煽りを受けて、本業は堅調なものの、ゴルフ場など過剰な投資に対する借入負担が膨らみ、本業で稼ぎ出す利益を借入金の金利および元本の返済金額が上回ってしまっている企業がこれに当たる。

産業再生機構が手がけた案件の多くがこのケースに当てはまるものだった。この場合、法的整・/私的整理問わず、一定規模の金融債務をカットし、非稼動ないしは非効率な不動産や設備など、不良資産を切り離す(オフバランスする)ことで、再生できるケースが多い。

2つめの分類である「本業堅調・高コスト構造」では、本業に必要な筋肉や骨を切らずに、贅(ぜい)肉を特定して切る目利き技術が必要になる。即ち、本業のビジネスを推進する上で必要なコストと不要なコストを選別することだ。

基本的には本業で稼ぎ出す粗利に見合った販管費の水準を実現するため、金額が大きい販管費の費目から順に中身を見ていき、要・不要を判断する。具合的には、本社人員の人件費やオフィスの家賃から外注費、手数料、ITシステム費用等、販管費の費目および(支払先別の)金額を一つ一つ丹念に見ていき、「価値を生み出すための費用」「リスクを軽減するための費用」「運営する上で不可欠な費用」のどれにも当てはまらない費用はカットしていく。

さらには、前述した3つのどれかに当てはまっていても、必要以上に支払っている余分なコストは削減する、というアプローチになる。コスト削減は家計の節約と同じで、ざっくりと検討するのではなく、丁寧に細かく見ていくことが重要だ。そうすれば必ず結果を出すことができる。

3つめの分類であり最も難易度が高い「本業低迷企業」に対しては、さらに細かく分類する必要がある。その分類とは「構造不況業種」「代替の脅威にさらされている企業」「競争劣位企業」の3つだ。

(文=山田政弘/ジェミニ ストラテジー グループ株式会社 代表取締役CEO)

山田 政弘 (やまだ・まさひろ)

事業投資や戦略立案、経営者派遣やハンズオン(常駐)型経営支援により企業の成長実現・企業価値向上支援を手がけるジェミニ ストラテジー グループ株式会社 代表取締役CEO。

中央三井信託銀行、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)戦略グループ、国内ITベンチャーマーケティングディレクター兼事業開発室長、事業再生コンサルティング会社クライアントパートナー等を経て、全国に店舗を構える靴の製造小売企業株式会社シンコー・株式会社モード・エ・ジャコモの再生担当取締役・事業改革室長としてハンズオンでの経営改革に従事した後、現職。消費財関連のメーカー、小売・流通業やネット企業、外食企業等に対する事業戦略立案、ブランディング、マーケティング支援、製造業に対するR&D戦略等による企業価値向上支援を手がけている。また、ドラッグストアチェーン運営企業やFin tech企業など、複数企業の社外取締役、顧問を務める。

主な著書に『数字を使ってしゃべれるようになるトレーニングブック』(明日香出版)『早わかり 図解&実例 よくわかる!ソーシャル・ネットワーキング』 『エッジ・ワーキング』(ソフトバンククリエイティブ)など。


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