皆様、こんにちは。ビズサプリの庄村です。
6月は2000社を超える3月決算上場会社の定時株主総会が開催されました。
LIXILグループでは株主側(期中に解任されたCEO)の取締役選任議案が会社提案に勝利し、武田薬品工業では株主から全取締役の個別報酬の開示と損失が生じた場合役員が受け取った業績連動報酬を過去にさかのぼって返還させるクローバック条項の導入が提案されました。
さらに、アパート施工不良問題で業績が悪化したレオパレス21や、完成車の検査不正があったスズキ、同じく不祥事のあった野村ホールディングスやスルガ銀行など不祥事があった企業では株主からの質問や意見が相次ぎ、経営者は謝罪に追われ大荒れの株主総会となったようです。
今回は、コーポレート・ガバナンスの強化をテーマとしています。
役員報酬額はいわゆるお手盛り防止のため、その限度額は株主総会で決議されます。1億円以上の役員報酬を得た1億円プレーヤーの役員報酬額は有価証券報告書で個別開示が必要ですが、1億円未満であれば、総額限度額の範囲内であればその必要はありません。また、各取締役の報酬プロセスも不透明でした。日産自動車ではカルロスゴーン元会長が主導的に取締役報酬を決めていた問題などが生じています。
会社所有者である株主は取締役に会社経営を委任していますが、委任の対価となる役員報酬の決定プロセスが不透明であるということになります。
そこで2019年1月に施行された改正開示布令で役員報酬は「客観性・透明性ある手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定すべきである」と明記され、有価証券報告書で固定部分、短期・中長期の業績連動部分についてそれぞれ算定方法や割合の他、決定までのプロセスを具体的に分かりやすく記載しなければならなくなりました。
株主にとっては、依然として1億円未満役員の個別報酬額はわかりませんが、役員報酬制度の内容や報酬決定プロセスが明確となります。
最近では任意の報酬委員会を設置し、役員報酬決定の客観性や透明性を高めている上場会社が増えているようです。
また、今後の会社法改正案では、取締役会で決定した役員報酬内容に関しその基本的な考え方や方針を開示し、株主総会での説明義務が盛り込まれる予定です。
政策保有目的株式についても2019年1月に施行された開示布令で改正され、政策保有株式の削減に向けて開示内容が拡充されるようになりました。政策保有目的株式の開示拡充は、建設的な対話の推進に向けた情報提供の一環として位置づけられています。
具体的には、有価証券報告書で政策保有目的株式の保有方針や保有の合理性の検証方法などの開示を求めるとともに、個別開示の対象となる保有株式銘柄が現状の30銘柄から60銘柄に増加し、保有株式の相手方が当社の株式を相互保有しているか否かも開示することとなりました。
また、議決権行使助言会社のISSは2019年日本向けの議決権行使助言方針で「政策保有目的銘柄出身の社外取締役及び社外監査役は独立性がないと判断する」という方針を改定しました。取締役の選解任は株主総会でしかできないため、実際の改定は1年の猶予期間をおき、2020年2月開催の株主総会から適用となります。
今後は政策保有目的株式の売却による株式の相互待合が解消されることでしょう。それによって、企業にとってはモノ言わない安定株主の減少につながるため、株主からの監視がさらに強化されることでしょう。
当期の株主総会では、2018年の株主総会では買収防衛策を導入している企業や、自己資本利益率(ROE)が低い企業や、社外役員が3分の1未満の企業などで、経営トップの選任議案の賛成比率が低くなりました。
また、社外役員については、独立性や適性に問題がなくても取締役会への出席率が一定率未満である場合や政策保有目的株式の企業出身の社外取締役は独立性がないものと判断し、社外役員の選任議案に反対するケースもありました。
コーポレート・ガバナンスコードでは、社外取締役を2人以上選任することや、取締役会がジェンダーや国際性の面を含む多様性を持つように求めています。
議決権行使助言会社のグラスルイスは、2020年から東証1部2部の上場企業を対象に女性役員がいない企業に対して経営トップの選任決議に反対する方針としています。
また、議決権行使助言会社のISSでは、委員会型機関設計の会社について取締役の3分の1を社外役員とすることを求めています。
今後は女性役員や外国人役員の登用や社外役員数の増加等、取締役会の構成メンバーの変更が進んでくると思われます。
文:庄村裕(ビズサプリパートナー 公認会計士)
株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.099 2019.7.2)より転載
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