適正価格よりも「安い価格で」株式を譲渡した場合

株式を適正価格より安い価格で株式譲渡する場合も同様に、売り手と買い手の組み合わせによりさまざまな税務上の問題が発生します。組み合わせは以下の4パターンです。

5.個人から個人へ 譲渡した場合
6.個人から法人へ 譲渡した場合
7.法人から個人へ 譲渡した場合
8.法人から法人へ 譲渡した場合

税務上の注意点を整理してみます。

5.個人から個人へ 適正価格より安い価格で譲渡した場合

(例)以下、例は同じです。
・株式の取得価格・・・10万円
・適正価格・・・100万円
・売却価格・・・20万円 とした場合

売り手にかかる税金買い手にかかる税金
コメント 株式譲渡益に対して譲渡所得税を支払います。 適正価格との差額は贈与を受けたとみなされるため(=みなし贈与)、差額分に対して贈与税が課税されます。
譲渡所得税 (20万円-10万円)× 20.318% 
贈与税 (100万円-20万円)× 贈与税率
法人税


6.個人から法人へ 適正価格より安い価格で譲渡した場合

(例)
・株式の取得価格・・・10万円
・適正価格・・・100万円
・売却価格・・・20万円 とした場合

売り手にかかる税金買い手にかかる税金
コメント 適正価格より安く譲渡した場合、適正価格で譲渡したとみなし(=みなし譲渡)、株式の取得価格と適正価格との差額に対してみなし譲渡所得税が課税されます。 適正価格と購入価格の差額に対して法人税が課税されます。
譲渡所得税 (100万円-10万円)× 20.318%
贈与税
法人税 (100万円-20万円)× 法人税率


7.法人から個人へ 適正価格より安い価格で譲渡した場合

(例)
・株式の取得価格・・・10万円
・適正価格・・・100万円
・売却価格・・・20万円 とした場合

売り手にかかる税金買い手にかかる税金
コメント 適正価格と売却価格との差額を寄付金として損金算入します。 適正価格と購入価格との差額は所得税の一時所得となり、確定申告が必要となります。
所得税
贈与税
法人税 寄付金として損金算入 100万円ー20万円 所得税(一時所得)・・・(100万円-20万円)×所得税率


8.法人から法人へ 適正価格より安い価格で譲渡した場合

(例)
・株式の取得価格・・・10万円
・適正価格・・・100万円
・売却価格・・・20万円 とした場合

売り手にかかる税金買い手にかかる税金
コメント 取得価格との差額(売却益)に対しては法人税が、適正価格との差額の損失分に関しては損金算入することができます。 適正価格との購入価格との差額が利益となるため、法人税が課税されます。
所得税
贈与税
法人税 ・法人税・・・(20万円-10万円)×法人税率
・損金算入(法人税)・・・100万円-20万円
(100万円-20万円)×法人税率


まとめ

中小企業のM&Aにおいて、株式譲渡はもっとも簡便な方法といえます。しかし、適正な価格で譲渡が行われない場合には、上記のとおり税務上の問題点が生じる場合があり、譲渡価格の算定には細心の注意を払う必要があります。

文:M&A online編集部