想定外の電撃内閣改造で、自民党の「派閥M&A」が始まる

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「大宏池会」再編に絶好のチャンス到来

旧統一教会問題に加えて、安倍元首相後継の派閥トップが決まっていないため、派閥として岸田首相に圧力をかけるのもままならない。最大派閥である安倍派の影響力を削ぐには、最適のタイミングと言えるだろう。

同時に「派閥M&A」の構図も透けて見える。現在、総裁派閥の岸田派は43人、安倍派の97人、茂木派(平成研究会)の54人、麻生派の50人に次ぐ党内第4位で党内の権力基盤は盤石ではない。

そこで浮上しているのが、岸田派(宏池会)、麻生派(志公会)、谷垣グループ(有隣会)を統合する「大宏池会」構想だ。派閥トップの死去により、安倍派からの切り崩しやプレッシャーの懸念がなくなった今が派閥M&Aの好機なのだ。

岸田首相は早々に麻生太郎副総裁の留任を決定し、「大宏池会」への布石を打った。さらに吉田茂派を起源とし、大宏池会と共に「保守本流」派閥である茂木派の茂木敏充幹事長の留任も決め、岸田政権に冷ややかだった安倍派の包囲網を築きつつある。

一方、後継者未定のままトップを失った安倍派は、分裂や切り崩しのリスクが高まっている。安倍派でも萩生田光一経済産業相は留任も含め要職起用される見通しで、閣僚盗用から外れた安倍派幹部との「不協和音」が懸念される。大宏池会のみならず、安倍派をも巻き込んだ自民党内の「大再編」が起こる可能性がありそうだ。

文:M&A Online編集部

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