プーチン大統領が急に「弱腰」になったのは「血液がん」のせい?

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5月9日の対独戦勝記念日の軍事パレードに出席したロシアのプーチン大統領(Photo By Reuters)

西側諸国も肩透かし?強硬姿勢一辺倒でウクライナ侵攻を続けてきたロシアのプーチン大統領の言動が、急に「慎重」になった。これまでの攻撃的な態度から一変、「弱腰」とも取れるプーチン大統領の変化の裏には自身の健康問題があるとの見方が広がっている。

「NATO加盟」に対するロシアの反応が著しく変化

9日の対独戦勝記念日演説で「ウクライナに宣戦布告し、全面戦争に突入するのではないか」との欧米外交筋の予想とは裏腹に「ウクライナでの軍事作戦は唯一の正しい選択だった」と述べただけ。西側が警戒していた宣戦布告はなかった。

これまでなら猛烈に噛みついていた北大西洋条約機構(NATO)拡大に対する態度もトーンダウン。フィンランドとスウェーデンの北欧2カ国が15 日、NATOへの加盟を申請すると発表した。米国もこれを歓迎している。ロシアにとっては、侵攻の原因の一つとなったウクライナのNATO加盟問題より深刻だ。

第一にNATOはウクライナの加盟に消極的だったが、フィンランドとスウェーデンの加盟には極めて前向きだ。第二にロシアは黒海の出口に当たるウクライナがNATOに加盟することで黒海艦隊の動きが制約されることを恐れたが、2004年3月のバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に加えてこの2国が加盟すれば同国の主力艦隊であるバルチック艦隊が事実上「封じ込まれる」ことになる。第三にウクライナという緩衝国なしにNATOと対峙(たいじ)することを極端に恐れていたロシアが、フィンランドの加盟で1340kmの国境線上でNATOとにらみ合うことになった。

これまでのプーチン大統領なら「NATOに加盟すれば、軍事行動も辞さない」と脅しつけるところだ。が、16日に開いたロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)の首脳会議では、「我々への直接的な脅威とはならない」とした上で、「NATOの軍事施設拡大にはその脅威に応じた対抗措置を取る」と述べるに留まった。

つまり「外国軍の駐留施設や前線基地の新設がないのであれば、NATO加盟を黙認する」と言っているわけだ。NATO加盟の動きを見せたウクライナに対するヒステリックな態度とは一変している。北欧2国のNATO加盟の方が、ロシアにとって軍事的リスクが高まるにもかかわらずだ。

こうした態度の「軟化」の背景には、軍事作戦での思わぬ苦戦や経済制裁によるロシア経済の混乱懸念などがあるのは確実だろう。だが、別の理由も急浮上している。プーチン大統領の健康問題だ。欧米メディアはプーチン大統領が、深刻な血液がんに冒(おか)されていると伝えている。

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