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「スタートアップ育成5か年計画」策定へ「新しい資本主義」起業支援などに重点投資

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政府は5月31日、「成長と分配」の好循環を目指す「新しい資本主義」の実行計画案などを発表した。起業を支援するため、今年末に「スタートアップ育成5か年計画」を策定する。また、M&Aを目的とする公募増資のルールを来夏までに見直し、事業再構築の円滑化を図る新たな法制度の中身も早急に検討する。

「新しい資本主義」は岸田文雄首相が掲げる長期的な経済政策で、実行計画案などは同日開かれた政府の新しい資本主義実現会議の会合で示された。目下の社会的課題を解決しながら経済成長を目指す上で、「人」「科学技術・イノベーション」「スタートアップ」「グリーン・デジタル」の4分野に重点的な投資を行う。

国内外のVCへの公的投資を拡大

「スタートアップ育成5か年計画」は新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、5年間で10倍増の創業を視野に司令塔機能を明確化する。

具体的には、海外のベンチャーキャピタル(VC)も含めたVCへの公的資本の投資を促し、国内外のVCに対する有限責任投資による資金供給などを抜本的に拡大。VCと強調した助成も手厚くし、国内VCの育成と海外の投資家・VCからの投資を呼び込む。

また、創業時に経営者による個人保証を必要としない新たな信用保証制度の創設を検討するほか、金融機関が個人保証を求めない創業融資の促進措置を講じる。今年度中には経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策も取りまとめる。

さらに、欧米に比べて起業家の資金調達額が少ない新規上場(IPO)プロセスの改革実行や、買収を目的に投資ファンドなどがスポンサーとなって設立する特別買収目的会社(SPAC)制度導入の検討などを進める。

半面、スタートアップが拙速なIPOを強いられず、非上場のまま時間をかけて成長することもできるよう、証券会社が運営するシステムを使った私設取引システム(PTS)でプロ投資家が非上場株を取り扱えるようにするセカンダリー取引の制度も整備する。

M&Aを目的とする公募増資ルールを見直し

一方、既存企業の付加価値創造に向けても、スタートアップとの連携を重視。欧米に比べて極端に少ないスタートアップに対する投資額とM&A件数を底上げし、大企業のオープンイノベーションを推進するため、税制などの在り方を再検証する。

M&Aを目的とする公募増資をめぐっては原則1年以内のM&A実行に加え、実行されなかった場合の代替使途の公表が日本証券業協会の自主規制に従って求められている。これらの自主規制がM&Aを目的とする公募増資を制限しているとの指摘もあることから、投資家保護を踏まえたルールを見直す。

事業再構築を容易にする私的整理法制を整備

また、事業再構築の円滑化は、新型コロナウイルスの影響に伴う業況の悪化による過剰な債務が事業再構築の足かせになっている企業が増えている実態を考慮。コロナ後の事業再構築を容易にする私的整理法制について検討し、早期に国会に提出する。

このほか、中小企業技術革新(SBIR)制度に基づくスタートアップへの支援の抜本拡充、社会的課題を解決するスタートアップの新たな法人形態創設の検討、長期的視点で投資できる企業環境の整備などの施策も盛り込まれている。

「骨太の方針」原案に明記も

実行計画案の内容は、政府が同日の経済財政諮問会議で示した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」の原案でも「新しい資本主義に向けた重点分野」の中に明記された。政府はいずれの案についても与党と調整を進め、6月7日の閣議決定を目指す。

文:M&A Online編集部

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