「ペロシ円安」で浮き彫りになった日本の新たな地政学的リスク

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台湾に到着したペロシ米下院議長(Photo By Reuters)

「ペロシ円安」が為替相場を直撃した。ナンシー・ペロシ米下院議長が8月2日に台湾を訪問すると、急速な円高が進んでいた為替相場が再び円安に。3日午前のニューヨーク外国為替市場では一時1ドル=134円35~45銭まで下落した。前日正午のロンドン外為市場では同130円95銭~131円05銭だったので、わずか1日で3円以上の値下がりだ。4日午前9時の東京外為市場では、133円92銭前後で推移している。「有事に強い」円の急落は、安全保障にからむ日本の新たな地政学的リスクを浮き彫りにしたと言えそうだ。

2015年の大きな転機が「ペロシ円安」を招いた

台湾有事が日本に大きな影響を与えることは、かねてから指摘されていた。ただ、台湾独立を目指した李登輝総統(当時)の米国訪問に端を発した1995年の第3次台湾危機とは状況が変わっている。それが2015年に成立した安全保障関連法だ。

同法案を成立させた安倍晋三首相(当時)は「台湾有事は日本有事」と主張しており、世界からは同法が台湾有事における日本の軍事支援を想定したものとみなされている。かつて日本は憲法第9条で海外での支援を含む軍事活動は厳しく制限されていた。

それゆえに朝鮮戦争では紛争の飛び火を気にすることなく軍需品の増産に専念でき、戦後復興の最初のきっかけをつかんだ。しかし、今回の台湾海峡危機では米軍以外の軍隊にも弾薬提供や兵士輸送などの後方支援が可能になり、台湾軍のサポートもできる。中国が日本に対する軍事作戦や、経済的な圧力をかける懸念が高まった。

台湾の蔡英文総統も日本の軍事力に期待している。7月31日に開かれた日台関係を考えるフォーラムで、「台湾と日本はインド太平洋地域の安定のため、安保協力を強化する必要がある」と、日本との正式な安全保障分野での協力体制の確立を訴えた。

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