2023年度経産省予算の主要施策に「事業承継・M&Aの促進」

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経産省が重点政策案を提示 産業構造審議会

中小の事業承継やM&A促進などが主要施策に

経済産業省は8月4日の産業構造審議会(会長・十倉雅和日本経済団体連合会会長、住友化学代表取締役会長)の総会で、2023年度予算概算要求の骨格となる「経済産業政策の重点」案を示した。主要施策には、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aの促進などを盛り込んだ。

事業再構築や生産性向上も支援

重点案では、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢による資源・物資の供給制約、物価上昇などへの的確な対応を課題に設定。中小企業・小規模事業者などの事業再構築や生産性向上・転嫁円滑化をはじめとする施策を一層進めるとした。

また、持続的な成長を可能とする経済社会の実現も課題とし、大胆な官民投資による基盤整備を提示。岸田文雄首相が提唱する「新しい資本主義」の重点投資分野であるスタートアップの起業促進などとともに、中小企業などの挑戦・自己変革を促す政策展開を挙げた。

具体的な主要施策としては、中小企業などの事業承継・創業・M&Aを促進。事業再構築に向けた補助、事業承継・引継ぎ補助金を含む中小企業生産性革命推進事業による生産性向上支援に取り組む方針も表した。

VCへの公的資本の投資拡大を検討

このほか、国内外のベンチャーキャピタル(VC)への公的資本の投資拡大や個人保証に依存しない融資の促進、スタートアップと既存企業のオープンイノベーション推進のための税制などの在り方・ルールの見直しなどを列記。海外における起業家育成プログラムの拡充やストックオプションなどの環境整備、外部経営人材のマッチング支援による大学発スタートアップの事業化促進にも取り組む。

さらに、企業と投資家間の対話の場の創設による投資家の関与強化、資本市場への成長投資の基盤となる資金の流入強化の検討なども掲げた。投資家との対話を通じては、社会の持続可能性と同期した企業価値創造の実現に役立つ経営変革を推進。対内直接投資や海外企業との協業の拡大を通し、中堅・中小企業などの海外展開も支援する。

概算要求や税制改正に反映

総会では、萩生田光一経産相が「個人や企業が挑戦を続けられる活力ある経済社会を実現したい」とあいさつ。委員からは「日本でスタートアップが生まれにくいのは出口戦略が限定的だから。M&Aが積極的に起きないと企業のノウハウも蓄積されないので、買い手側への支援もお願いしたい」といった意見が出た。

経産省は総会の討議内容を経済産業政策の重点に取り込み、8月31日に締め切られる2023年度予算概算要求や税制改正などに反映させる。

文:M&A Online編集部

関連リンク:経済産業省「令和5年度 経済産業政策の重点(案)」

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