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意外な子会社 紀州鉄道|不動産業の「逆転の発想」

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のどかな田園地帯を走る紀州鉄道(maxxum/フォトライブラリー)

不動産業の鶴屋グループの傘下に

では、紀州鉄道の親会社はどこか。また、どこの会社が紀州鉄道という名称を上手に活用してきたのか。紀州鉄道の親会社は、実は東京都文京区に本社を置き、不動産業を営む鶴屋グループである。鶴屋産業、鶴屋商事といった会社を擁し、鶴カントリー倶楽部といったゴルフ場を経営する会社だ。両社とも非上場でもあり正確な数字を示すことはできないが、紀州鉄道ホームページの「会社沿革」でも、「1979年に鶴屋グループの傘下となる」と記している。

ここには、どのような経緯があったのか。紀州鉄道は1928年、和歌山県御坊に御坊臨港鉄道株式会社という名称で創業した。その後、1972年に紀州鉄道に商号を変更。1975年に紀州鉄道不動産を創業し、別荘事業、会員制クラブなどのリゾート事業に着手した。だが、鉄道経営もリゾート事業も思うようには伸張しない。そこで1979年に、企業体質の強化を目的として鶴屋グループの傘下に入ることになった。

沿革としては上記のようだが、実は鶴屋グループの傘下に入る7年ほど前の1972年、東北・福島の磐梯急行電鉄という鉄道会社の倒産後に設立された磐梯電鉄不動産(本社・東京)という不動産会社が、当時の紀州鉄道すなわち御坊臨港鉄道を買収したとされている。その時期に御坊臨港鉄道は紀州鉄道と社名変更した。

1970年代、まだM&Aという言葉が一般的にはなっていなかった頃の買収や傘下入り。じり貧状態を続けた紀州鉄道とその会社を買収した磐梯電鉄不動産、そして、紀州鉄道を含めて磐梯電鉄不動産の経営を担うこととなった鶴屋グループ。廃線となるか存続すべきか瀬戸際に立ち続けた紀州鉄道が経営基盤、拠りどころを求めてガタゴトと揺れ動いていた様子がうかがえる。

M&A Online編集部

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