え? なんであの会社がこの会社を買うの? この会社ってあのグループだったの? と思わず驚かずにはいられない、意外なM&Aがある。そんなディールを集めてみた。買収の狙い、そしてそこから見えてくるものとは…?

TBSホールディングスがスタイリングライフ・ホールディングスを買収
(買収金額 約210億円 出資比率約51%、買収時期 2008年7月)

J.フロントリテイリング株式会社が株式を追加取得し、持分法適用会社に
(買収金額 約82億円 出資比率約40.5%(現在は48.5%)、2011年2月、3月)

スタイリングライフ・ホールディングス(SLH)という会社をご存じだろうか。かつては、「ソニープラザ」などの輸入生活雑貨店を展開していたソニー系の小売業の持株会社だ。現在、グループ内には輸入生活雑貨のプラザスタイル(旧ソニープラザ)のほか、カタログ通販のライトアップショッピングクラブ(旧ソニー・ファミリークラブ)、また、レストラン運営のマキシム・ド・パリなどがある。

ソニー本体が本業で苦戦を強いられるなか、これらのソニー系の小売業は2006年6月にグループから離れ、持株会社SLHを新設した。TBSホールディングス<9401>がSLHを連結子会社としたのは2008年7月。当時は「TBSがなぜ小売業を?」と業界内でも驚きがあった。

当時はデジタル放送への完全意向(2011年7月)の直前の頃だ。TBSのリリース(東証への情報開示)によると、当時TBSでは番組・コンテンツの開発・制作に力を注ぐ一方、放送を中核とする広範なビジネスチャンスを積極的に捉え、企業価値を総合的に向上させ、持続的な成長を果たそうとしていた。その点から、SLHが実践する「ライフスタイル・エンタテイメントの創造」への取り組みと、メディアによる文化創造へのTBSの取り組みが合致し、両者が補完・強化しあうことがTBSの事業価値を最大化させると判断したからだ。

TBSは事業シナジーを検討し、事業提携の総合的なプログラムを策定した。その内容は「SLHのライフスタイル・エンタテイメント創出能力や店舗展開を利用した番組・コンテンツの企画力・開発力・発信力の向上、新たなECビジネスの開発、新規メディアにおけるコンテンツ開発・制作における連携、メディアコマース事業であるグランマルシェとSLHの多角的な協業による競争力強化」などである。

そして、TBSは赤坂の再開発事業に取り組む。本社が立地する赤坂サカスに「赤坂ACTシアター」「赤坂BLITZ」「赤坂ギャラリー」等の文化施設を設け、39階建ての「赤坂Bizタワー」、ショッピング・グルメの商業施設「アネックス」、イベントスペースの「Sacas広場」などを連動させた。

TBSタワー
赤坂 TBSタワー

メディアと不動産と物販。メディアはとかくメディア単体での盛衰を語られやすいが、不動産や物販といった「放送外事業」の収益が事業シナジーをもたらした好例と受け取ることもできる。

なおTBSの子会社となったSLHは、最近開業した「GINZA SIX」が好調なJ.フロントリテイリング<3086>筆頭株主第2位だ。2011年にソニー(22.5%)、三井物産(15%)、千趣会(3%)の3社が保有するSLHの株式を取得した。現在は48.5%を保有し持分法適用会社としている。

J.フロントは台湾で「JFR PLAZA」を展開していたが黒字化が見込めず、年内に台湾事業から撤退する予定だ。

文:M&A Online編集部