欧州委員会、企業結合審査を届出対象外の取引に拡大

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欧州委員会、企業結合審査を届出対象外の取引に拡大

APRIL 2021 コメンタリー

欧州委員会(「EC」)によると、当事者の双方又は一方(通常は小規模で高価値の買収対象会社)がEC又は加盟国の届出基準を満たさなかったことを理由として、企業結合の届出を免れた競争法上重要な取引の数が増加してきました。届出基準は、通常、国内売上高に基づいています。

この懸念事項に対応するため、ECは、 EU加盟国の競争当局がECに対して企業結合審査を要請する「upward referral mechanism」の対象となる取引の類型を拡張する新たなガイドライン(「ECガイドライン」)を発出しました。ECガイドラインは、直ちに効力を発生しており、加盟国の競争当局に対し、対象企業の買収が将来において競争法上重要なものとなる可能性がある場合には、 EC又は加盟国における売上がない又は僅少な企業に関する買収をECの企業結合審査の対象とするよう要請することを推奨しています。

EC及び加盟国競争当局の届出基準とは異なり、新たな要請ルールは主観的なものです。この結果、ECが特定の取引をクロージング後においても審査するか否かを予見することがより困難になる可能性があります。要請ルールは、すべての産業に同様に適用されますが、ECは、小規模な企業の買収が頻繁に行われ、また、ECが近年関心をよせているテクノロジー、バイオテクノロジー及び医薬品の各産業分野において最大の影響があると警告しています。

本コメンタリーは、欧州において企業買収の計画を有する日本企業に関心のあるトピックと考えられることから紹介する次第です。詳細は、“European Commission Expands Antitrust Reviews to Non-Reportable Transactions”(オリジナル英語版)をご参照ください。

弁護士 宮川 裕光
弁護士 堀池 雅之
弁護士 増田 好剛

ジョーンズ・デイ法律事務所 コメンタリー「欧州委員会、企業結合審査を届出対象外の取引に拡大」より転載

ここに記載されている見解および意見は執筆担当者の個人的見解であり、法律事務所の見解や意見を必ずしも反映するものではありません。


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2019/10/02

企業結合審査の届出及び待機期間の規制を回避する買収スキームを採用したことに関して、米国司法省が、キヤノン及び東芝に対し罰金を科し、さらに、欧州委員会が、キヤノンに対し、制裁金を科す旨の決定をしました。