「事業承継マッチング支援」申し込みが前年度比5倍に-日本公庫

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日本政策金融公庫の本店ビル(東京・大手町)

経営者の高齢化やコロナ禍が影響

日本政策金融公庫が実施している2021年度上半期(4~9月)の「事業承継マッチング支援」の申し込み数が、前年度の年間実績と比べて約4.8倍の1808件に上った。譲渡希望者と譲受希望者の引き合わせ数も約2.2倍の100件に増加。同公庫は「経営者の高齢化や新型コロナウイルスの影響による相談が増えた」としている。

同公庫の国民生活事業に含まれる「事業承継マッチング支援」は、後継者不在の小規模事業者から「第三者に引き継ぎたい」という要望を掘り起こし、「事業を譲り受けたい」という事業者や創業希望者と引き合わせる取り組み。2019年度に東京都内で試行したところ、譲渡希望93件、譲受希望238件の計331件の申し込み(うち引き合わせ数は32件)があり、一定の支援ニーズの存在が確認された。

事業承継マッチング支援の実績(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫ニュースリリースより引用(2021年10月15日付)

譲受希望が半数超、創業希望者も増加

小規模事業者を中心とした後継者問題は地方において特に深刻なため、翌年度からは沖縄県を除く全国で展開。2020年度は譲渡希望が70件に減ったが、譲受希望は前年度を超える306件を確保し、引き合わせ数も46件と前年度並みの実績を上げた。

さらに、新型コロナによる経済停滞が続く2021年度は、上半期だけで譲渡希望が615件に達し、譲受希望も1193件と大幅に増えた。同公庫は「コロナ禍を乗り越えるための新分野進出、事業転換などを検討する人や、第三者から事業を受け継いでスタートする創業(継ぐスタ)を希望する人からの相談も増えている」と分析。譲受希望のうち、創業を目指す人の申し込み数は前年度比63件増の182件だった。

譲渡ニーズと引き合わせ数の底上げが課題

一方で、譲受と譲渡の申し込み数は年々差が開いており、譲受側の過多が続いている。また、2021年度は譲受希望が前年度から約3.9倍、譲渡希望は約8.8倍に増え、引き合わせ数の伸び率の2倍余りを大きく上回った。申し込み数に対する引き合わせ数の割合を見ると、2019年度から2カ年はいずれも10%前後だったが、2021年度は約5.5%と半減した。

下半期の申し込み数などを合わせると、2021年度の実績が前年度をさらに大きく上回るのは確実だが、今後は譲渡ニーズに加え、マッチングの決め手となる引き合わせの数をいかに底上げしていくかが課題となる。

同公庫は「全国152支店のネットワークを活用し、(国が設置する)事業承継・引継ぎ支援センターなどの外部機関と連携しながら積極的な事業承継支援に取り組む」としている。

関連リンク:
「事業承継マッチング支援」の申し込みが増加|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
事業承継マッチング支援|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)

M&A Online編集部

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