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韓国への輸出管理批判は、米「対日経済制裁」の絶好の口実になる

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安全保障上の問題で日本に圧力かけるトランプ政権

最大の懸念は日本が主張する「安全保障上の輸出管理」批判が、米国に利用されることだ。トランプ米政権は2019年7月の参議院選挙後に、貿易問題で日本に大幅な譲歩を求めてくる。日本政府との交渉が難航すれば、トランプ政権は日本が韓国に使った「安全保障上の輸出管理」をたてに懲罰的な関税引き上げなどの強硬策を打ち出しかねない。

日本政府は韓国への輸出規制強化を「世界貿易機関(WTO)で認められている安全保障上の問題によるもの」と言い切るが、同様の主張をトランプ政権から突きつけられかねないのだ。決して「絵空事」の杞憂ではない。2019年5月にドナルド・トランプ大統領は「自動車や部品の輸入により米国の安全保障が脅かされている」と断言している。

韓国政府は「日本は違法輸出の摘発件数さえ明らかにせず、一部の事例を選んで公開しているだけだ」としている。確かに「安全保障貿易管理の現状と課題」でも、事例を挙げているだけで違反件数は明らかにしていない。

日本は軍事産業で欠かせないセンサーをはじめとする精密電子部品や生産装置、高機能素材などで世界最高レベルにある。ひそかに持ち出されるなど、「水面下」では相当数の違反事例が存在する可能性も否定できない。そこを突かれれば、トランプ政権に絶好の「口実」を与えることになる。

「安全保障上の問題」をトランプ大統領(写真左)に利用される懸念も=右は杉山晋輔駐米大使(ホワイトハウスホームページより)

日本政府が「わが国と韓国では違反内容が違う」と主張したところで、攻勢に回ったトランプ政権が耳を貸すことはない。「われわれは日本が韓国に対して行ったことを、そのままやっただけだ」とツイートで返されるのが関の山だろう。日本経済にとっては「悩みのタネ」が、また一つ増えることになりそうだ。

文:M&A online編集部

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