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一六堂のMBOが絶妙なタイミングすぎてキナ臭い件

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自社株買いを宣言するも実行せず

投資をしないので、現金は増え続けます。

2014年2月期 2015年2月期 2016年2月期 2017年2月期 2018年2月期
現金 12億4400万円 16億4100万円 14億600万円 19億8800万円 23億7700万円

これだけの現金を保有していながら、5年間で自社株買いは一度もしていません。正確に言うと、2016年7月に自社株買いを実施すると宣言したのですが、実行されずに終わったのです。

7月の自社株買い宣言により、投資家の期待は高まりました。300円台だった株価はいっきに400円台まで急上昇したのです。ところが、株価が急騰したことを理由に、自社株買いを実施しないと発表しました。

代表・柚原洋一氏は、ホームページでこう綴っています。

【嘘をつくな、ずるい事をするな、約束を守れ、それだけでいい】

今となっては大爆笑ですが、当時「お前はどうなんだ!」と投資家から怒りをかったことは有名です。

同社の株主を軽視する姿勢は、これだけではありません。

2015年2月期から、1株18円の配当を10円に減配したのです。その理由がなんと、「内部留保を優先する」というものでした。ご承知の通り、内部留保は投資資金と同義。会社を成長させるためのガソリンです。しかし、前述したように新規出店や業態開発は一切していません。

こうしてみると、2014年ごろから同社が成長性を重視せず、株主を蹴散らして利益をため込む状態を作っていることがわかります。

八重洲再開発
八重洲二丁目再開発の予想図


八重洲の再開発で自社ビルは15億円で買い取り

今回のMBOを後押しした最も大きな要素は、自社ビルが売却できる目処がたったことです。同社の本社自社ビルは、八重洲一丁目にあります。このエリア、三井不動産が中心となって立ち上がった八重洲一丁目、二丁目再開発プロジェクトのど真ん中です。プロジェクトの正式な発表があったのが、2015年ごろ。着工は2020年10月です。

本社ビルの帳簿価格は5億8100万円となっていますが、時価は15億円を超える(モーニングスター)模様です。もし、ビルが15億円で売却できたとすれば、保有する現金と合わせて39億円近い金額に達します。今回のMBOに必要な資金とほぼ同額です。

2005年に上場して資金を調達し、M&Aなどにより会社を成長させた一六堂。八重洲再開発プロジェクトで思わぬキャッシュが入り込むことになり、出店を抑えて現金を貯め、自社ビル売却の話が表面化する前にMBOで非上場化。今後は、株主からうるさいことを言われることもなく、悠々自適な会社経営です。

上場したことで優秀な人材と組織基盤は揃い、ムリな出店で会社の体力を削ることもなく、既存店でそれなりのキャッシュが入る構造は出来上がっています。

なんとも華麗な一幕なのでした。

麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。 ブログはこちら 「ビールを飲む理由」 


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2018/09/07

東証「適時開示」ベースで、2018年8月の買収件数は72件(7月54件)と、5月の64 件を上回り、今年の月間最高となった。このうち、海外企業を対象とする買収は19件、買収金額10億円超は25件あり、いずれも今年最多。なかでも100億円超の大型案件は1~7月で合計26件だったが、8月だけで8件に上り、集中ぶりが目立った。