ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

市場獲得型水平統合戦略としてのM&A

alt

■トランザクションの留意点、ディールブレイクイシュー

では、このようなタイプの買収を、トランザクションの観点でとらえた場合、どのようなことが特徴としてあげられるでしょうか。

まず、買収プロセスについて。ターゲット市場自体が成長段階にあるため、既存事業エリアで苦戦している競合他社同士(例えばヨーロッパの同業など)の激しい入札合戦になることが考えられます。

したがって、クロスセルの可能性やコストシナジーの実現可能性を見極めて、どこまでシナジー効果を前渡しして(高値で)買収しても採算が取れるか、ぎりぎりのバリュエーションが求められます。

M&Aのリーグテーブル上位の常連のようなグローバルな投資銀行がセルサイド、バイサイド双方のアドバイザーにつき、「仁義なき戦い」が繰り広げられるパターンです。

■取引スキーム

あくまで私見として感じる傾向ですが、100%株式買収(またはそれに準じるマジョリティーシェアの移動)に代表される比較的シンプルな株式譲渡スキームが多くなるように感じられます。

これは、ターゲットの特定の機能や商材が欲しいというよりは、そのエリアで事業を展開できる事業体全体を、基本的には丸ごと買収することが主眼になるためと思われます。

PMIでのポイント

目的が異なる市場への参入である以上、やはり最も重要になるのは売上シナジーと思われます。特に自社の既存製品、サービスをいかに早く、多く新市場に乗せることができるかがポイントと思われます。したがって、相手の販売チャネルに自社製品をどうやって乗せるか、広告宣伝から始まり、物流、倉庫等のロジの共有化等も重要と思われます。 

そして次の段階では、当然コストシナジーの実現も重要になります。つまり、グローバルでのバリューチェーン最適化です。しかし、これは拠点の統廃合など、痛みを伴うことが多いため、どうしても後回しになったり、手つかずになってしまうことも多いようです。 

今回は、大型クロスボーダーM&Aに多い「市場獲得型水平統合M&A」について考察をしてみました。次回は、「コスト効率化を目指す水平統合M&A」について考察してみたいと思います。

本記事は、IGNiTE CAPITAL PARTNERS ホームページより転載しておりま

西澤 龍 (にしざわ・りゅう)

IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー

投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員

コラムに関する質問・問い合わせ・弊社サービスに関するご相談は、以下にご連絡ください。
ignite.info@ignitepartners.jp


NEXT STORY

M&A(経営統合)とシナジー効果

M&A(経営統合)とシナジー効果

2018/03/24

M&Aの世界では、「シナジー効果(Synergy Effect)」という用語が頻繁に出てきます。簡単に説明すると「1+1=2以上」になる可能性がある場合、相乗(シナジー)効果があると考え、M&Aを実行します。

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5