半年ぶりに施設増ー民泊事業の「コロナ不況」は終わったか?

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民泊の廃業件数は下げ止まったが…(写真はイメージです)

逆風を乗り越える「独自のサービス」を

今後はどうなるのか?新規参入はコロナ禍でも毎月200〜300件前後ある。それでも民泊施設数が減少しているのは、新規参入を上回る事業廃止があるからだ。

自己所有物件を民泊で貸し出す個人あるいは事業者は引き続き参入し、宿泊客がいなくても事業を継続するだろう。どのみち所有物件なので、「たまにでも宿泊客がつけば儲け」だからだ。

問題は集合住宅一棟の丸ごと全室を民泊施設に転用したり、民泊施設となる物件を借り上げて事業を展開していたりする大規模事業者だ。前者の場合は民泊稼働率が低ければ賃貸住宅に転用した方が運用実績が良いし、後者の場合は民泊収入よりも賃貸料の方が高く赤字に転落する。そうなれば民泊からの撤退を選ぶのも当然だろう。

観光庁の調査によると、民泊事業の廃止理由で最も多かったのは「収益が見込めないため」の49.1%で、前年調査の7.2%を大幅に上回った。かつてはホテルや旅館よりも安い宿泊料で人気を集めた民泊だが、宿泊業全体の不況で一般宿泊施設の料金値下げが相次ぎ「料金差」が狭まっていることも民泊事業者に不利に働いている。

コロナ禍が収束しない限り、民泊ビジネスの逆風は続くだろう。だが、大規模民泊事業者の撤退が一段落すれば、たとえ逆風下でも小規模民泊事業者の参入は続いているため民泊施設数は増加に転じる可能性が高い。

すでに一部のホテルで始まっているテレワーク用の作業スペース(仕事部屋)や、マンスリーマンションへの転換などで収益を上げる動きも出てくるだろう。民泊は「身軽さ」と「ニッチへの対応」が持ち味でもある。地域全体での宿泊客誘致や、その宿ならではの体験ツアーを企画するなど、ユニークな生き残り策に期待したい。

農村民泊での農業体験など、「コト消費」のサービス開発が求められる(写真はイメージ)

文:M&A Online編集部

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