AIはまだうまくいっていない

今、AIブームと言われているが、AIのプロジェクトを調べてみると、ほとんどうまくいっていない。AIで利益を上げている会社はほとんどない。なぜかというとAIを使おうとするとデータの加工が必要なためだ。AIに仕事をさせようとすると言葉の定義をしなければならない。これが膨大な作業なため、うまくいかない。

データの加工に手間と時間がかかっているのを解決するにはどうすればいいのか。その答えがXMLデータの自動生成にある。自動生成は技術的に非常に難しいといわれているが、実際にわが社で膨大な法律データを取り込んで自動タグ付けをやってみたら、結構うまくいった。

これはすごい発見で、次世代の検索エンジンが作れたのではないかなと思っている。コストがかからず、検索が早い。これをどんどん広げていけば革命的なことが起こるのではないかと思う。

大きな効果が期待できるのは医療や金融、法務の分野ではないだろうか。これら分野でデータがXML化されると効率化が飛躍的に進み、大きな変革につながるだろう。医療では医療費の削減が可能になり、金融では新しい金融サービスが生み出せる。法務では総務や経理の仕事が大幅に自動化できるようになる。

M&Aも契約書などは紙のため、効率を上げるためにはデジタル化しなければならない。契約書がXMLになっていると自動チェックができる。これだけでも全然違う。財務諸表もエクセルやPDFなのでAIが読めない。XML化するとAIで判断ができるようになる。そうなると効率が大幅に上がる。

97%のデータは検索できない

XMLが登場してすでに20年以上たっているが、現状はあまり利用されていない。扱いにくいフォーマット(仕様)のためで、XMLは過去のものという声さえある。

しかしXMLの自動変換を行ってみると実際に動くし、早いし、コストもかからないことが分かった。ITの知識のある人であれば、ある程度はできるので、やってみてほしい。これをやる人が増えればすごいことが起こる。

現在グーグルで検索しても法律データはあまり出てこない。我々の健康データも出てこない。我々がいくらお金を持っているかも出てこない。一番重要なデータは検索して出てくるような状態になっていない。

今、検索して出てくるデータは世の中のデータの3%くらいで、GAFAは強いと思われているが、まだ全然勝負がついていない。残り97%のデータを自由に扱えるフォーマットにいかに変えられるかが、ネクストGAFAの世界になる。

佐々木 隆仁(ささき・たかまさ)さん

1989年早稲田大学理工学部卒業。1995年AOSテクノロジーズを設立、2012年AOSリーガルテック設立、2019年リーガルテックに社名変更。

データ調査、データ復元、バーチャルデータルーム(VDR)などの事業を手がける。


文:M&A online編集部